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2006年10月12日

既存データの再利用

Altium Designer では PADS などの他機種の CAD データを読み込むことができますがその範囲は限られており、国内で多用されている国産 CAD システムの CAD データの読み込みはできません。

しかし、CAD データが読み込めなくても、DXF やガーバー(Gerber)を介してデータを読込んで再利用することができます。

ただし、DXF やガーバーは電気的な属性を持たないグラフィカルデータですので、これらを再利用する場合には手作業を加える必要や、多くの制限があることを知っておかなくてはなりません。特に DXF データは機械系CAD用のフォーマットですので PCB オブジェクトと完全な相関を得ることができません。例えば配線パターンがポリライン(PCBのベタに相当)で表現されていたりします。このためデータをそのまま使用することは困難ですので、DXF データについては再設計のためのテンプレートとしての利用に留めるのが無難です。

一方ガーバーについては、絵柄としてはPCB オブジェクトと完全な相関がとれていますので、読み込んだデータをそのままPCB オブジェクトに置き換えて再利用することが容易です。

そこでガーバーを介して行う、データの再利用の例をいくつか紹介します。

(1) CAMtastic 経由でガーバーとNCファイルを読み込み、基板の全データを再利用

これはCAMtastic の持つ、ガーバーから Altium Designer の PCB データへ変換機能を利用するものです。以下に手順が紹介されていますのでご覧ください。
http://eda.ac/yota/archives/2005/07/_camtastic.html

これが成功するか否かは、CAMtastic が他機種で作成されたガーバーとNCデータを正しく読めるかどうかにかかっています。しかし現実にはガーバーとNCデータには多くのバリエーションがありますので正しく読めない場合もあります。この場合には多少の手直しが必要になります。

先日ユーザ様からいただいたガーバーでは D03 コマンドが正しく処理されず、CAMtastic ではうまく読むことができませんでした。もしガーバーが正しく再現されない場合には一度この部分も確認してください。

CAMtastic で正しく処理できないガーバーデータ
---------------------------------------------
G17*
G90*
D02*
D99*
G01X-02720000Y01040000*
D03*
G01X-01570000Y00000000*
D03*
D02*
M00*
M02*
M30*
---------------------------------------------

上記のように、"D03" (フラッシュコマンド)が座標値と分離して記述されている場合に"DO1"(ドロウコマンド)が無くてもシャッターが開いた状態で線が引かれます。これを以下のように書き換えると、正常に再現されます。

CAMtastic で正しく処理できるガーバーデータ
---------------------------------------------
G17*
G90*
D02*
D99*
G01X-02720000Y01040000D03*
G01X-01570000Y00000000D03*
D02*
M00*
M02*
M30*
---------------------------------------------
*この問題についてはアルティウムに対策を依頼済み

(2) 直接 Altium Designer の PCB にガーバーを読み込み基板データの一部を再利用

CAMtastic で PCB データに変換する場合は、PCB を構成する全データを読み込んで処理することが必要になりますので、一部のデータだけを再利用したい場合は少し不便です。例えば、他機種で設計した配線パターンだけを再利用し、部品はAltium Designer でマニュアル配置するという場合です。

このような場合には、直接 Altium Designer の PCB エディタにガーバーを読み込みます。
しかし、PCB エディタでは他機種の PCB データを直接読み込むことができず、以下のようなヘッダーの追加が必要になります。

Altium Designer PCB エデイタで読めないデータ
---------------------------------------------
D10*
X57173Y87824D02*
X57096Y88031D01*
X56963Y88206*
X56786Y88336*
M02*
---------------------------------------------

ヘッダー2行を追加することにより読み込みが可能になります。このヘッダは、Altium Designer PCB エディタから出力したガーバデータのヘッダーを切り取って貼り付けましたが、データの単位系と桁数によって記述内容を修正する必要があります。

Altium Designer PCB エデイタで読めるデータ
---------------------------------------------
%FSLAX43Y43*%
%MOIN*%
D10*
X57173Y87824D02*
X57096Y88031D01*
X56963Y88206*
X56786Y88336*
M02*
---------------------------------------------

またこの場合には自動的にアパーチャが参照されるため、アパーチャファイルを事前に用意しておくこと、およびガーバーとアパーチャファイルの双方ともにPCB エディタのルールに沿った拡張子をつけておくことが必要です。

(3) ライブラリエディタでガーバーデータを再利用

複雑な形状のフットプリントを作成する場合、他のCADで作成された既存のフットプリントをガーバー出力して再利用することにより作成時間を短縮することができます。

しかし、Altium Designer PCB ライブラリエデイタではガーバーのインポートができません。このため、一旦PCB エディタにガーバーデータを読み込んだ後、Copy & Paste でライブラリエデイタに貼り付けます。

ガーバーファイルを用いると短時間で PCB の絵柄を完全に再現することができますが、 PCB 属性を与える作業には多くの時間を要します。このためガーバーデータを利用する場合には、完全なPCBデータへの変換にはこだわらず、目的にあわせてある程度のところで妥協することが必要であると思います。

Links:Altium 情報局Altium 問合せ・請求||Altium Designerユーザ情報サイト


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