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2008年02月08日

初代 Windows 版プロテル

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世界初の Windows PCB ツール

プロテルはDOS 版 PCB-CAD の開発を打ち切った後、1991年に世界初の Windows PCB ツールとして Advanced PCB 1.0 をリリースします。

当時私どもはPADS-PCB ツールの販売が主力であり、まだプロテルの輸入販売元としての業務を行なっていませんでした。私どもが輸入販売元としてプロテルの Windows ツールの販売を開始したのは、1994年1月の EDA TechnoFair からです。しかし主力においたのははPCB ツールではなく、回路図エディタの Advanced Schematic でした。

プロテルの代理店になることを決めたのはこの前年の1993年の末です。Wescon で展示されていたAdvenced Schematic に感銘を受け即座に代理店になることを決断しました。当時の私どもは Advenced Schematic が業界標準になることを確信しており、プロテルビジネスに投資する事に対して何の懸念もありませんでした。

この Advenced Schematic では、 OrCAD SDT(DOS)のWindows 版というコンセプトが明確に打ち出され、そのコンセプトが適確に実現されていました。また何よりも端正な面構えとWindoes 準拠のセンスの良いユーザインタフェイスにいたく感動し、もうこれ以外には何も目に入らないというほどの惚れ込みようでした。一方 PCB エディタの Advanced PCB はこの頃すでに Ver. 1.5 にバージョンが上がっていましたが、いまいち魅力薄の印象を拭えませんでした。

とにもかくにも私どもは、このプロテルの投入を機に積極的な販売戦略を策定/実行し、 PCB 設計業者から CAD 販売業者への転換を始めました。いま当時の状況を振り返ってみると、その後のプロテルビジネスの骨格がこのころ確立されたことがわかります。

・ VAR 販売チャンネルの設定
・ 流通販売チャンネルの設定
・ 雑誌広告を毎月掲載
・ 年 4回のニュースレター(Tech Express)の定期送付
・ 年2回のトレードショーへの出展
・ 回路図とPCBの国産部品ライブラリの提供
・ カタログの大量配布

とにかく OrCAD という巨人が前に立ちはだかっていたわけですから、OrCAD の Windows 版が出る前にいかに知名度を上げ、販売実績を残すかということが最重要課題でした。当時の私どもには「何が何でもプロテルを公衆の面前に露出させる」という、執念めいた想いがあったように思います。

これらの戦略の実行にあたっては、資金不足以外に大きな障害はありませんでしたが、いくつか想定外のこともありました。特に流通チャンネルを通じて全国にカタログを配布する場合、最低でも 10,000枚くらい用意しないといけないことがわかり、流通販売チャンネルの設定後、それまでの 10倍くらいの量のカタログが必要になりました。

当時はまだ誰もプロテルの名前を知らないわけですから、微々たる売上げに期待するよりもまず、メディアへの物量の投入によりブランドを露出させ知名度を上げることが先決でした。雑誌広告やカタログにはProtel のロゴを目立たせると共に Advenced Schematic が OrCAD互換であることを明示し、OrCAD のWindows 版というコンセプトを強く訴求しました。そしてこのような営業努力の結果半年後くらいには、いくらかプロテルの存在が認知され始めました。また製品の能力に対してもおおむね良好な評価を得ることができ、少量ながらも着実に売れ始めました。

余談になりますが、このころ国内最大手の PCB-CAD ベンダー様から Advanced Schematic の引き合いがあり、研究用見本として 1本お買い上げいただきました。 開発/設計現場だけでなくCAD 業界にもプロテルの存在が認知され始めたことを実感させる出来事でした。

機能面においては Advanced Schmatic 1.0 の特徴である OrCAD回路図とライブラリの読み込みと書き出し機能、およびWinmdows に準拠した洗練されたユーザインタフェイスは大変好評でした。しかし残念なことに、回路図上に日本語を書き込むことができませんでした。

一方 Advanced PCB 1.5 では、32ビットのデータベースによる 0.001 mil の分解能の実現と、無制限のデータベースサイズのサポートにより、極めて精細度の高い基板や大規模な基板の設計が可能になりました。しかし、パッドスタックがサポートされていないことや、Polygon Pourを同一ネットのパターン上に重ねて配置できない点など、プロフェッショナルな用途には不十分な部分も残っていました。

また、Advanced Schmatic および PCB の双方ともドングルによりプロテクトが行なわれていましたので、IBM PC 用ドングルにアクセスできないPC98 環境では使用することができませんでした。このためサードパーティからPC98 用プロテクトキーインターフェイスボードを調達することにより、PC98 環境での動作を実現しました。

当時このAdvanced Schmatic および PCB には Protel for Windows というファミリー名が与えられました。この初代 Protel for Windows は当時のひ弱なプラットフォームでは充分な能力を発揮することはできませんでしたが、Windows のトレンドに対する整合は完璧でした。このため、 「Windows のプロテル」というブランディングには最適な商品であり、Windows CAD 市場に絶好のコンデションで船出することができました。

(注) 内容は記憶に基づいたものであり、不正確な部分が含まれている可能性があります。

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