Main Contents

2008年02月10日

Altium Designerでガーバ編集

(旧プロテル探検隊からの加筆/転載。画像もそのまま再利用)

他の PCB-CAD で設計の終わったデータを Altium Designer に読み込んで修正したい場合があります。

Altium Designer は、OrCAD Layout、PADS、P-CAD の PCB トランスレータを備えており、これらの PCB データであればそのまま読み込んで編集することができます。しかし Altium Designer でサポートされていない種類のPCB データを読み込みたい場合には、トランスレータを使って Altium Designer のデータに変換することが必要になりますが、必要なトランスレータを簡単に手に入れることはできません。

そこでその代替として、ガーバー データを Altium Designer に読み込んで編集するととう手段があります。 そしてこれを行なう場合には、一旦 Altium Designer に内蔵されているガーバエディタ(CAMtastic)にガーバーデータを読み込み、それを Altium Designer のPCB データに変換するという手法を用います。アルティウムではこれをリバースエンジニアリングと呼んでいます。

Altium Designer の PCB エデイタにもガーバー入力機能がありますが、これは他社製品から出力したガーバーデータを読み込む能力を備えていません。このため Altium Designer の PCB エデイタでガーバー編集を行なう場合には、必ず一旦ガーバーエディタを経由してガーバーデータを取り込まなくてはなりません。

また、ガーバ編集というと言葉からは、ガーバー編集用の生産性の低いコマンドを使用した手間のかかる作業を想像しがちですが、この場合には使いなれた Altium Designer の PCB 編集コマンドが使えますので、小規模な変更であればさほど不便は感じないはずです。

以下にそのおおよその手順を紹介します。

(1) CAMtasticガーバーエディタに に Gerber と NC データを読み込む
CAMtastic の [ Files ] - Import コマンドを使用する。Quick Loard という一括読み込みの機能があり、これを利用すると基板を構成するファイルをまとめて読み込むことができる。

(2) ネットリストを抽出
レーヤ属性の設定、レーヤオーダーの設定、ネットリストの抽出という一連の作業を行う。

(3) CAMtastic のデータを Altium Designer の PCB データに変換
[ Files ] - Export - Export to PCB コマンドで Protel に データを送る

(4) Altium Designer に読み込まれた PCB データからビアを抽出して変換
変換された PCB データはランド部分は全てパッドになっており、ビアとの区別がない。このため、Find Similar Objects の機能を使ってビア部分を検出し、この部分をビアに一括変換する。

(5) Altium Designer の PCB 編集機能を使って修正
変換元データがガーバですので、そのままでは部品単位での移動はできない。このため部品の移動を行う場合には、[ Tools ] - Convert - Create Union from Selected Components コマンドを使ってパッドをグループ化する。さらにこのメニュー下部にある、Add Selected Primitives to Component でシルクをグループ化する。これら機能を使用すると、オリジナルの CAD データと同じように部品単位での移動が可能になる。
union.gif
さらに Altium Designer ではその豊富な機能を駆使して一旦読み込んだガーバーデータを、オリジナルのPCB データに近付けることができます。もしAltium Designer または、旧プロテルで描かれた回路図があれば、回路図と整合する Altium Designer の 完全なPCB データに復元することができます。この手順については DesignWave 誌の記事で詳細に解説してあります。 ただし冒頭2ページしか公開されていませんので、詳細をお知りになりたい場合には、アンビルコンサルティングまでお問合せ下さい。
http://www.cqpub.co.jp/dwm/Contents/0089/dwm008900390.pdf

しかし完全なPCB データへの復元にはかなり手間がかかります。簡単な修正なら(ガーバーエディタを経由して)単に ガーバデータを Altium Designer に読みこんだだけの状態で編集したほうが楽だと思います。

Altium Designer では比較的簡単にガーバーデータを読み込み、使い慣れた PCB 編集機能を使って修正することができます。「ガーバー はなにかと面倒」という先入観を捨てて一度この方法をお試しください。

Links:アルティウム専門店トップページ||Altium Designer trial shop


Copyright © here.