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2008年02月12日

CAMtastic の操作性

(旧プロテル探検隊からの加筆/転載)

Altium Designer のリバースエンジニアリング機能により、ガーバーデータを PCB データに変換して修正を加えることができますが、もうひとつの方法として、CAMtastic の豊富な編集機能を使ってガーバーデータのままデータを修正することもできます。

その際に問題になるのが CAMtastic の操作性です。たいていの人はすぐに「CAMtastic はちょっと変」と感じて、使うのをあきらめてしまうのではないでしょうか?

Altium Designer の回路図エディタや PCB エディタは、アルティウムの開発ポリシーとして Windows 標準に準拠した操作性をそなえています。しかし CAMtastic ガーバエディタは、企業買収によって外部から取得したツールであることから、Windows 標準に準拠した他のアルティウムのツールとはかなり使い勝手が異なります。

そこで部品(CAMtastic ではパッド)の移動を例にとり CAMtastic の操作のポイントを説明したいと思います。

まず Protel PCB ツールの場合には、コマンドを何も起動しなくてもマウスのカーソルを部品上に移動し左ボタンで部品をつかめば自由に部品が動きます。いわゆる Windowsでいうところのドラッグ&ドロップにより、簡単に部品を移動できます。

しかし CAMtastic ではこのようなわけにはいかず、これと同じ操作をしても全くなにも起こりません。CAMtastic ではドラッグ&ドロップはサポートされていませんので、パッドを移動させるには次のような手順が必要になります。

(1) [ Edit ] - Move コマンドを起動し、対象を選択する
メニュ体系自体はWindows 標準が守られていますのでこの操作に戸惑うことはないでしょう。しかしこれでパッドをクリックしてもパッドがハイライトするだけで、パッドを動かすことはできません。実は CAMtastic では [ Edit ] - Move のコマンドによって最初に有効になる機能は、部品の移動ではなく移動対象のセレクトなのです。コマンドを起動した直後カーソルが四角形 [ □ ] に変化します。CAMtastic ではまずこの状態で、マウス左ボタンのクリックにより動かしたいパッドをセレクトします。

(2) マウスの右ボタンをクリックする
マウスの右ボタンをクリックすることによりセレクトの機能が終了します。しかしCAMtastic では、単に機能が終了するだけでなく次の機能が有効になります。これでようやくパッドが動くと思いきや、ところがどっこい、さらにまだ前段階の操作が必要です。

(3) マウス左ボタンのクリックにより始点を決める
ここまでの操作で、セレクトされた部分が四角形で囲まれ、マウスのカーソルは十字 [ +] に変化しているはずです。この状態で移動の始点を指定します。[終点] - [始点] の距離をセレクトされたオブジェクトが相対移動しますので、始点をどこに指定してもかまいません。しかし単独のパッドを動かす場合には、パッドのセンターを始点にするのが一番分りやすいはずです。マウスの左ボタンのクリックにより始点を決めます。ここまできてやっとパッドを動かすことができます。

(4) マウスの移動によりパッドを目的地まで移動して確定する
マウスを動かせばパッドが移動しますので、目的地まで移動させたあとマウス左ボタンのクリックで終点を決めます。

これで移動が完了します。さらにマウスの右ボタンをクリックすると (1) の状態に戻りコマンドを再起動しなくても、別のオブジェクトを移動することができます。

以上のように、CAMtastic では他のアルテイウムのツールとは大きく異なる操作が求められます。そこでこの CAMtastic の違いに戸惑うことがないように、要点を4つあげておきます。

・ ドラッグ&ドロップはサポートされていない
・ [ Edit ] - XXXX コマンドを起動すると、まずセレクト機能が有効になりその後、処理に必要な一連のコマンドが自動的に呼び出される
・ マウスの右ボタンを押すと機能が終了するだけでなく次の機能が始まる
・ 部品移動の場合にはセレクトされたオブジェクトが、指定した始点と終点の間隔を相対移動する

この操作体系は、ACT 社の ECAM がDOS 時代から用いてきたものに良く似ています。ECAM は PCベースのGerber エディタの草分けであり、長期にわたって販売されている製品ですので、CAMtastic でその操作体系が踏襲されたとしても不思議ではありません。また、これが使いやすいという評価もあります。アルティウムユーザとしては違和感を拭えませんが、とにかくこの違いを理解して慣れるしかありません。

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