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2008年05月20日

PADS と Altium Designer

最近、PADS ユーザからの Altium Designer 6 の引き合いが増え、PADS Layout と Altium Designer の違いについての質問をいただくことが良くあります。

このような場合には、Altium Designer は極めて多機能ですので、PADS Layout に無い Altium Designer の特徴的な機能をいくつか取り上げ「こんなことは PADS ではできません」と切り捨てるのが一番簡単で効果的です。

しかしながら、なかなかこのような回答を差し上げ難い背景もあります。というのは、いまでこそ PADS は PCB 分野でのライバルですが、かつて私どもにとって PADS は重要なパートナーでもあったからです。

もう 20 年も前のことになりますが)私どもは、PADS を使って PCB 設計業務を立上げましました。そして PADS PCB のマニュアルを日本語に翻訳し、PADS の販売を始めました。そしてその後、プロテルの販売に移行したという経緯があります。いわば PADS は日本でプロテルを立ち上げるための基礎作りの役割を担ったわけです。

PADS の記憶 - ユーザー編 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2008/01/pads_1.html
PADS の記憶 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2008/01/pads.html

ちょうど PADS からプロテルへの移行を本格的に始めたころは、多くの PADS ユーザさんと付き合いもありましたので大変気を使いました。結局のところ当時は、PADS とプロテルの両方の特徴と価格を紹介し、目的に合うほうをお選び下さい、というスタンスで対応していたように記憶しています。

以下は1994年に当時のプロテル(Advanced PCB 2.X)とPADS 2000の機能違いを紹介した資料です。レイアウトも文章も稚拙ですが内容に誤りはないはずです。

pads_protel.jpg
当時から プロテル (現 アルティウム ) は多機能で、機能の数だけを比較すれば価格が一桁近く異なる PADS をしのぎました。しかし、個々機能の完成度や描画速度などに難点もあり、実用性ではPADS をしのぐとは言い切れませんでした。

この比較表を作ってからすでに 14 年たちます。この間 プロテル (現 アルティウム ) もWindows プラットフォームも劇的に進化し、現在の Altium Designer は、機能の数もその完成度も描画速度も他の追従を許さない水準に達しています。

最近 Altium Designer をご購入いただいた PADS ユーザさんの中には、PADS から切り替えられた方や、PADS と併用されている方がおられます。もちろん PADS にできて Altium にできないこともありますが、いずれも Altium Designer の機能には満足いただいております。

最後に、Altium Designer と PADS を併用されているユーザさんからいただいたコメントを紹介します。このユーザ様からはPADS より劣る部分もあるが、使い慣れると Altium Designer の方が良いという評価をいただいております。

納入後、半年くらい経過した時点での、Altium Designer 6.8 に対してのコメントです。

(1) PADS との比較において優れている部分
  ・ 面付け機能により、異種の組基板が簡単に作れる。

(2) PADS より劣っているが、運用によって不便が回避できた点
  ・ Pick and Place のフォーマットをカスタマイズできない。

(3) PADS より劣っており不便を感じている点
  ・ ガーバ出力時に原点を自由な位置に設定できない。
   (ガーバ出力時に数値で設定したいが、絶対原点と相対原点の切替しかない)
  ・ 任意のオブジェクトを選択してガーバ出力するという機能が無い
  ・ ハッチで塗りつぶすタイプのベタを描くと、外形が線幅分外に出る。
  ・ 作成済みのポリゴンの編集がしにくい。
  ・ ポリゴンの塗りつぶしに時間がかかる。
  ・ PCB のフットプリントに属性が少ない(Designetor と Comment のみ)
    ので回路図で部品に入力した属性をPCB で利用することができない。
   また PCB からバックアノテーションも Designetor と Comment に限定される。
   PADS の場合は Part Type によって強固に関連付けられており緊密に連携可能。
  ・ パッドの穴位置にオフセットをかけることができない。

PADS ユーザ方々が Altium Designer の導入を検討される場合にはまず、上記の機能差が障害にならないかどうかをチェックされると良いと思います。

PADS および PADS Layout は Mentor Graphics Corporation の登録商標です。

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