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2008年07月29日
Device Sheet/デバイスシート
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注:1 この記事は「アルティウムの知恵袋」カテゴリー「Altium Designer の機能/用法」での最後の投稿です。
すでにこの「アルティウムの知恵袋」は更新を取り止めており、このカテゴリーは「アルティウムの情報箱」の「Altium Designer の機能/用法」に引き継がれています。
注:2 さらにその後「アルティウムの情報箱」も終了し「アルティウムの日替り?情報局」のカテゴリ「Altium Designer の機能」に引き継がれています。
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既存の回路を新しいプロジェクトで使い回す場合に便利な、Altium Designer の Device Sheet(デバイスシート)の機能をご紹介します。
CAD の最大級の特徴の一つとして、データの共有/再利用が容易であるということが上げられます。例えば回路図を書く際には、部品の絵柄をその都度描くのではなく、部品ライブラリから部品を取り出してシート上に配置します。
このことにより、回路図作成に要する時間が短縮されるだけでなく、誤りの少ない回路図を作成することができます。このしくみを回路図シートに応用したのが Device Sheet 機能であり、回路を一つの部品のように取り扱います。
この機能では、既存の実績のある回路を新しい設計に再利用したい場合、既存の回路図を Device Sheet として保存しておき、部品のようにこれを取り出して使用します。例えば、利用頻度が高い電源回路を Device Sheet として保存しておくと、部品を配置するのとおなじように電源回路全体を配置することができます。
回路図を Device Sheet として保存するのは極めて簡単です。Device Sheet の格納場所として設定された特定のフォルダーに、回路図を保存するだけです。
以下のページで、任意のフォルダーを Device Sheet の格納場所として登録します。
回路図上への配置は、[ 配置 ] >> デバイスシートによって行います。
以下はデバイスシートが配置された回路図の見本です。
デバイスシートはシートシンボルと良く似ていますが、シンボルの角が円弧になっており中央には大きなリサイクルマークが表示されます。またシート上に配置されたデバイスシートの回路情報は修正することができません。
実績のある過去の回路図データを再利用する場合には、不用意にデータが修正されないよう注意することが必要ですが、デバイスシートを使用するとこのような心配は不要です。
この Altium Designer の Device Sheet は、実績のある既存の回路をオリジナルのまま再利用したい、という場合に最適です。是非とも一度お試し下さい。
アルティウムの情報箱 「Altium Designerの機能/用法」 に続く
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2008年07月28日
BGA 引き出し配線
すでに BGA は高密度実装用のパッケージとして定着しています。この BGA パッケージまわりの配線の際には、格子状に配置された多くの端子パッドからパッケージの外側に配線を引き出すという、厄介な作業を行なわなくてはなりません。
この作業では、ビアを挿入し適切な層に配線を振り分けることが必要になり、たいへん手間がかかりますが、Altium Designer ではこれを自動的に行なうことができます。
すでにこの機能をお使いの方も多いと思いますが、有用な機能ですのでここで一度おさらいをしておきたいと思います。
まず、結果をご覧下さい。8層基板(配線層 6)上の 1156ピンのBGA から、Altium DesignerのBGA Fanout と呼ばれる自動引き出し機能によって配線が引出された結果です。
物理的に引き出しが不可能な箇所は未処理の状態のまま残ります。
おそらく、1000以上もあるBGA パッドからの引き出しをすべて手作業で行なうと、数日はかかると思いますが、Altium Designerでは、BGA Fanout コマンド(コンポーネント付随ネットをファンアウト)を起動するだけで数秒で完了します。
また、BGA Fanout で配線を引出す前にピンスワップを行なうことにより、配線の交差を最少化することができます。
ピンスワッピング前 ピンスワッピング後
※ CQ 出版社 DesignWave 誌より画像を引用
これらの機能は BGA まわりの配線にはなくてはならない機能のように思いますが、いかがでしょうか?
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2008年07月15日
Altium Designerの基板外形
旧プロテル探検隊からの転載/加筆
何故か旧Protel PCB ツールには基板外形の作成機能がなく、伝統的にキープアウトレーヤにトラックを配置することにより基板外形を作成していました。しかし Protel DXP 以来は Board Shape コマンドが用意され、このコマンドを使用して基板外形を作成できるようになりました。
ところがこのコマンドで作成された基板外形は、表示のコントロールが主な役目であり、本来の基板外形の役目を全て果たすわけではありません。
例えば、Board Shape では配線可能なエリアが規定されません。このことは、ラッツネストをつかんでマニュアル配線を行ってみると良くわかります。例えばBoard Shape コマンドで作成した基板外形の外にも自由に配線が行えエラーも表示されません。そしてさらに、Board Shape はガーバ出力することができません。
基板の配線可能なエリアは従来と同じようにキープアウトレーヤで規定します。このため、Board Shape で基板外形を設定するだけでなく、キープアウトレーヤにも配線可能な範囲を示す外形線の入力が必要になります。また、基板外形をガーバ出力したい場合には、メカニカルレーヤにも基板外形を衆力する必要があります。ただし、Excellon NC フォーマットで Board Shape から直接、外形加工データを出力することはできます。
基板外形は、[ デザイン ] >> 基板外形 >> 設定、で作成します。しかしこれで終わったと思わず、キープアウトレーヤにも配線可能な範囲を示す外形を作成してください。また、Board Shape とキープアウトレーヤの外形を同じサイズにする場合には、Board Shape から自動的にキープアウト自動的に作成することができます。これを行なう場合には、[ デザイン ] >> 基板外形 >> 基板外形からプリミティブ作成、のコマンド用います。
基板外形を数値入力で作成したい場合があります。しかし、数値入力による外形作成機能は ウィザードにしか用意されていません。しかし、幸いなことに Altium Designer にはマウスのカーソルを数値指定した座標に移動させるという機能があります。マウスを右手で操作する代わりにこの機能を使ってカーソルを動かします。そして、マウスの左ボタンの代わりに 「 Enter ] キーを使用します。そうするとマウスには一切手を触れることなく、数値の入力によって基板外形を作成することができます。
例えば、四角形の基板外形を作成する場合には以下の手順で行います。
(1) 画面の左下付近に原点を設定
[ 編集 ] >> 原点 >> 設定、により原点を画面左下付近に設定します。
(2) [ デザイン ] >> 基板外形 >> 設定 コマンドを起動
ここまでは、通常のマウス操作で行います。しかしこの後は一切マウスを使用しません。
(3) 座標値入力画面(Jump to Location)を表示
ショートカットキー、「J 」 >> 「 L」 押す。これにより Jump to Location 画面が表示される。
(4) 座標値入力画面への始点(基板の左下)座標の入力とカーソルの移動
Jump to Location 画面の X 及び Y 座標の項目の両方に「0」(ゼロ)を入力する。この入力の際、項目の移動(X から Y へ)には「tab 」キーを使用。そして、「Enter」 キーを押すとダイアログボックスが閉じて、マウスのカーソルは (1) で設定した原点の位置に移動する。
(5) 始点の確定
ここでもう一度 「Enter」 キーを押すことにより始点(X=0 Y=0)を確定する。
(6) 座標値入力画面を表示して次の基板コーナの座標値を入力/確定
このあと再度、ショートカットキー、「J 」 >> 「 L」 を押す。同様に Jump to Location 画面が表示されるので、基板外形の次のコーナーの座標値(例えば X=0 Y=100)を入力して「Enter」キーを 2 回押す。
(7) 座標値入力画面を表示して残りの基板コーナの座標値を入力/確定
上記(6) の操作を、残りの 2 つの基板コーナに対して行なう。そして最後に原点に( X=0 Y=0)対して同様の操作を行なうことにより基板外形の作成が完了する。
要するに、「J」と「L」を押し、X-Y の座標値を入力し、「Enter」キーを 2回押すという操作の繰り返しになります。最初は戸惑いますが慣れれば簡単ですので、数値入力で外形を作成したい場合にはこの方法を試してください。
また基板コーナを円弧にしたい場合には、マニュアル配線の場合と同じように 「Shift」 + 「Space」キーによりコーナの形状を円弧にすることがでできます。さらにピリオド「. 」とカンマ「, 」キーにより円弧の半径を増減することができます。
Altium Designer では、他にテンプレートやウィザードによって基板外形を簡単に作成する方法も提供されています。基板外形の作成方法については、以下のドキュメントにも詳しく説明されていますのでご覧ください。
http://www.altium.com/files/learningguides/JP/TU0110_BoardShapeAndSheetBasics_jp.pdf
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2008年06月21日
Altium Designer の初期化
昨日まで使えていたショートカットが効かなくなったり、登録したはずのライブラリがリストから消えて、部品が呼び出せなくなったりした場合、Altium Designer の設定ファイルが書き換わってしまっている可能性があります。
また、カスタマイズした環境をいったん元に戻したいという場合があります。
このような場合には、設定ファイルを消去することにより、最初にインストールした直後の状態に復帰させることができます。
Altium Designer の設定ファイルは、Document and Settings/ログインユーザー名/Application Data/Altium Designer 6 フォルダ内に作られていますので、初期状態に戻したい場合には、これらをフォルダーごと消去してください。
Altium Designer では、これらの設定ファイルが無ければ起動/終了時に自動生成されますので、ただ単に消すだけで初期状態に戻ります。
この設定ファイルは、再インストールの際にも上書きされずに残ります。もし、原因不明のトラブルの解決のためにクリーンインストールするという場合には、まず、この設定ファイルを消去されることをお奨めします。
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2008年03月21日
ジャンパー線への対応
Altium Designer 6.9 で実現されたジャンパー機能を紹介します。
層数の少ない基板、特に片面基板では配線パターンが交差する部分にジャンパーを挿入して配線を通します。このような場合 Altium Designer 6.8 以前では、ジャンパーで結線が済んでいることを認識できず、ルールチェックの際には未結線として報告されるという問題がありました。
これに対して今回の 6.9 では、パッドにジャンパー ID の属性が追加されたことにより、ジャンパーによる接続が認識できるようになりました。
この機能では、ジャンパーのパッドにジャンパー ID として任意の数字を与えることにより、その ID 番号が一致する箇所がジャンパーによる接続箇所と認識されます。そしてこの認識が行なわれると、従来直線で表示されていたラッツネストが弓方に変化し、デザインルールチェックの際にも結線済みとみなされます。
たったこれだけのことですが、ジャンパーを多用する片面基板では、設計がずいぶん楽になります。
この機能を使ったジャンパーの挿入手順は以下のようになります。
(1) 部品ライブラリからジャンパーを呼び出し、目的の場所に配置する。
(2) 両方(2つ)のパッドにネットを与える。
(3) 両方のパッドに同じジャンパー ID を与える。
ここのところ Altium Designer の PCB では多層/高速基板のための機能が重点的に強化されてきました。しかしこれはその対極にあるもので、この機能の実現により多層/高速化とは全く逆の方向にも守備範囲が広がりました。
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- at 22:30
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Altium Designer 6.9
先週 Altium Designer 6.9 の配布が始まりましたので、インストールして内容を調べてみました。
インストール後、まずこのアップデートの概要が紹介されているアルティウムの "What's new in Altium Designer 6.9!" webページを見てると、6.8 の時のように「300以上の新機能と機能強化」というように数の多さは訴求されていません。ここを見る限りでは今回のアップデートは、「前作の 6.8 の完成度を高める」ことに主眼がおかれているようです。
またもうすこし詳しい "What’s new in Altium Designer 6.9" pdf ドキュメントを開くと、次のように 16 の機能が紹介されています。やはり前作 6.8 でデビューした 3D 表示機能に関連するものが多く、 6.8 の改良版という性格を感じさせます。(日本語訳は正確で無い可能性があります)
・ New - STEP Models into 3D Bodies
STEP モデルの 3D 形状への読み込み
・ New - 3D STEP Export
3D STEP の書き出し
・ New - 3D Origin Marker
3D オリジンマーカー
・ New - Transparent Layer Mode options
透過レーヤー表示モードのオプション
・ New - 3D Shadow and Object Color by Layer
3D シャドウ と 層ごとのオブジェクトカラーの設定
・ New - 3D Image onto clipboard
3D イメージのクリップボードへのコピー
・ New - Jumper connections
ジャンパー接続
・ New - Units Toggle
単位系のトグル
・ Improved - Special Strings
スペシャルストリングの拡張
・ New - Design Refactoring
デザインリファレンシング
・ Improved - Publish to PDF
PDF出力
・ New - Web updates
Web アップデート
・ New - Power Monitoring for the Desktop Nanoboard
Desktop Nanoboard のためのデバイス消費電力モニター
・ New - FPGA Peripheral Cores
FPGA ペリフェラルコア
・ Improved - Xilinx EDK Support
Xilinx EDK のサポート
・ New - Context-sensitive C language help
文脈依存型 C 言語ヘルプ
しかし今回のアップデートでは、ジャンパー線のサポートというような、基本機能の拡張も行なわれています。日本国内にはこの新機能による恩恵を受けるユーザも多いのではないでしょうか?
このジャンパー線のサポートは、片面基板の設計にはどうしても必要な機能ですので、家電の分野で長く切望されていました。これはまさに日本市場向けの機能ですので、後ほどあらためて紹介したいと思います。
また、地味ながら次の 2つの改良も見逃せません。
(1) ダイアログボックス上でのメトリック単位系(mm)の桁数の取り扱い
以前は、小数点以下 3 桁しかサポートされていませんでしたので、ダイアログボックス上でグリッド値をミリメートルで設定したり、インチからミリメートルに変更.したりすると、丸め誤差によりグリッドに載らなくなることがありました。この対策のため、桁数が小数点以下 5 桁までサポートされ、3桁から 5桁の間で切り換えられるようになりました。(変更する場合にはPCB ドキュメントを全て閉じる必要があります)
(2) ダイアログボックス上のグリッド表示の単位系を瞬時に切り換え
ショートカット "Ctrl + Q" により、グリッドの設定値が、ミリメートル(mm)とインチ(mil)の間で切り換わります。しかしここで変わる換わるのは、数値だけですのでこの変更を反映するためには、単位系の切り換えも合わせて行なうことが必要です。
その他、6.8 で報告されていた、 NC ドリル出力時のミリメートル設定の不具合も解消されています。
また、Web アップデートの画面を開く前に、ユーザアカウントへのログインを要求されるように変更されています。ほかにも今まで文字化けしたいたライセンス先(エンドユーザの社名)の表示が正しく行なわれるようになっているなど、今まで積み残されてきたいくつかの問題が今回のアップデートで修正されています。
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2008年03月18日
CAMtastic の活用
(旧プロテル探検隊からの加筆/転載、画像もそのまま使用)
Altium Designer には単体商品としても販売されていた CAMtasticガーバエディタ が含まれています。
元来、ガーバエディタは面付けやテストクーポンの追加など、基板製造の効率化や品質向上ためのデータ編集に使用されるツールです。一方、このようなPCB製造側の用途だけでなく、基板設計者にとっても PCB 設計の仕上げや最終チェックに使用できる、便利なツールでもあります。
そこで今回は、CAMtastic によって行うことができる PCBデータの仕上げと最終チェックの一例をご紹介します。
(1) シルクカット
Altium Designer による基板設計時には、部品番号(シルク文字)を部品のパッドや穴(スルーホール)に重ならないように配置します。パッドにシルクが重なると半田が乗らず、また穴にシルクが重なるとインクで穴が塞がるからです。しかし密度の高い基板ではこのような重なりを避けられない場合があります。また見落としにより重なった部分が残ってしまう場合があります。
このような場合には、パッドや穴と重なっているシルク文字の一部を切り取り、重なっている部分を除去します。これをシルクカットと呼んでいます。このシルクカットは Altium Designer のPCBエディタではできませんが、CAMtasitic を使えば可能です。
Altium Designer のPCBエディタから出力したガーバデータとNCデータを CAMtastic に読み込んだ後、ネットリストを生成します。そして [ Tools ] - Trim Silkscreen コマンドを起動することによりシルクカットが自動的に行われます。
(2) ドリルのダブルヒットのチェック
Altium Designer による基板設計時に、スルーホールパッドどうし、またスルーホールパッドとビアが重なった状態で配置される場合があります。このような部分を目視で見つけることは困難で、またデザインルールチェックでも検出ができません。
このような部分には、同一座標にドリルデータが2つありますので、ドリルのダブルヒットと呼んでいます。そしてこの部分には基板製作時に穴あけが2回行われ、場合によってはドリルが折れてしまう場合がありますので、完全に除去しておく必要があります。
CAMtastic には、このようなダブルヒットをを自動的に検出する機能があります。またドリル径よりも狭い間隔で配置されているドリルデータを検出することもできますので、穴あけに関する問題を容易に回避することができます。
CAMtastic のデザインルールチェックは、[ Analysis ] - PCB Design Check /Fix コマンドによって行います。コマンドの起動によって表示されるダイアログボックスの設定項目の14番目と15番目にドリルチェックがあります。他にも多くのデザインルールチェックができますので、一度全ての項目にチェックを入れてルールチェックをかけてみるとよいでしょう。ここにある項目のほとんどの部分はAltium Designer PCBエディタでチェック済みのはずです。しかしここでは製造直前のガーバとNCデータをチェックしていますので、最終工程のチェックとしてより信頼性の高いデータの確認が可能です。
このように、CAMtastic にはAltium Designer の PCB エディタの機能を補うさまざまなデータの加工やルールチェックが可能です。この CAMtastic の機能を併用することによって、より品質の高い製造データを作成することができます。
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2008年02月12日
CAMtastic の操作性
(旧プロテル探検隊からの加筆/転載)
Altium Designer のリバースエンジニアリング機能により、ガーバーデータを PCB データに変換して修正を加えることができますが、もうひとつの方法として、CAMtastic の豊富な編集機能を使ってガーバーデータのままデータを修正することもできます。
その際に問題になるのが CAMtastic の操作性です。たいていの人はすぐに「CAMtastic はちょっと変」と感じて、使うのをあきらめてしまうのではないでしょうか?
Altium Designer の回路図エディタや PCB エディタは、アルティウムの開発ポリシーとして Windows 標準に準拠した操作性をそなえています。しかし CAMtastic ガーバエディタは、企業買収によって外部から取得したツールであることから、Windows 標準に準拠した他のアルティウムのツールとはかなり使い勝手が異なります。
そこで部品(CAMtastic ではパッド)の移動を例にとり CAMtastic の操作のポイントを説明したいと思います。
まず Protel PCB ツールの場合には、コマンドを何も起動しなくてもマウスのカーソルを部品上に移動し左ボタンで部品をつかめば自由に部品が動きます。いわゆる Windowsでいうところのドラッグ&ドロップにより、簡単に部品を移動できます。
しかし CAMtastic ではこのようなわけにはいかず、これと同じ操作をしても全くなにも起こりません。CAMtastic ではドラッグ&ドロップはサポートされていませんので、パッドを移動させるには次のような手順が必要になります。
(1) [ Edit ] - Move コマンドを起動し、対象を選択する
メニュ体系自体はWindows 標準が守られていますのでこの操作に戸惑うことはないでしょう。しかしこれでパッドをクリックしてもパッドがハイライトするだけで、パッドを動かすことはできません。実は CAMtastic では [ Edit ] - Move のコマンドによって最初に有効になる機能は、部品の移動ではなく移動対象のセレクトなのです。コマンドを起動した直後カーソルが四角形 [ □ ] に変化します。CAMtastic ではまずこの状態で、マウス左ボタンのクリックにより動かしたいパッドをセレクトします。
(2) マウスの右ボタンをクリックする
マウスの右ボタンをクリックすることによりセレクトの機能が終了します。しかしCAMtastic では、単に機能が終了するだけでなく次の機能が有効になります。これでようやくパッドが動くと思いきや、ところがどっこい、さらにまだ前段階の操作が必要です。
(3) マウス左ボタンのクリックにより始点を決める
ここまでの操作で、セレクトされた部分が四角形で囲まれ、マウスのカーソルは十字 [ +] に変化しているはずです。この状態で移動の始点を指定します。[終点] - [始点] の距離をセレクトされたオブジェクトが相対移動しますので、始点をどこに指定してもかまいません。しかし単独のパッドを動かす場合には、パッドのセンターを始点にするのが一番分りやすいはずです。マウスの左ボタンのクリックにより始点を決めます。ここまできてやっとパッドを動かすことができます。
(4) マウスの移動によりパッドを目的地まで移動して確定する
マウスを動かせばパッドが移動しますので、目的地まで移動させたあとマウス左ボタンのクリックで終点を決めます。
これで移動が完了します。さらにマウスの右ボタンをクリックすると (1) の状態に戻りコマンドを再起動しなくても、別のオブジェクトを移動することができます。
以上のように、CAMtastic では他のアルテイウムのツールとは大きく異なる操作が求められます。そこでこの CAMtastic の違いに戸惑うことがないように、要点を4つあげておきます。
・ ドラッグ&ドロップはサポートされていない
・ [ Edit ] - XXXX コマンドを起動すると、まずセレクト機能が有効になりその後、処理に必要な一連のコマンドが自動的に呼び出される
・ マウスの右ボタンを押すと機能が終了するだけでなく次の機能が始まる
・ 部品移動の場合にはセレクトされたオブジェクトが、指定した始点と終点の間隔を相対移動する
この操作体系は、ACT 社の ECAM がDOS 時代から用いてきたものに良く似ています。ECAM は PCベースのGerber エディタの草分けであり、長期にわたって販売されている製品ですので、CAMtastic でその操作体系が踏襲されたとしても不思議ではありません。また、これが使いやすいという評価もあります。アルティウムユーザとしては違和感を拭えませんが、とにかくこの違いを理解して慣れるしかありません。
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2008年02月10日
Altium Designerでガーバ編集
(旧プロテル探検隊からの加筆/転載。画像もそのまま再利用)
他の PCB-CAD で設計の終わったデータを Altium Designer に読み込んで修正したい場合があります。
Altium Designer は、OrCAD Layout、PADS、P-CAD の PCB トランスレータを備えており、これらの PCB データであればそのまま読み込んで編集することができます。しかし Altium Designer でサポートされていない種類のPCB データを読み込みたい場合には、トランスレータを使って Altium Designer のデータに変換することが必要になりますが、必要なトランスレータを簡単に手に入れることはできません。
そこでその代替として、ガーバー データを Altium Designer に読み込んで編集するととう手段があります。 そしてこれを行なう場合には、一旦 Altium Designer に内蔵されているガーバエディタ(CAMtastic)にガーバーデータを読み込み、それを Altium Designer のPCB データに変換するという手法を用います。アルティウムではこれをリバースエンジニアリングと呼んでいます。
Altium Designer の PCB エデイタにもガーバー入力機能がありますが、これは他社製品から出力したガーバーデータを読み込む能力を備えていません。このため Altium Designer の PCB エデイタでガーバー編集を行なう場合には、必ず一旦ガーバーエディタを経由してガーバーデータを取り込まなくてはなりません。
また、ガーバ編集というと言葉からは、ガーバー編集用の生産性の低いコマンドを使用した手間のかかる作業を想像しがちですが、この場合には使いなれた Altium Designer の PCB 編集コマンドが使えますので、小規模な変更であればさほど不便は感じないはずです。
以下にそのおおよその手順を紹介します。
(1) CAMtasticガーバーエディタに に Gerber と NC データを読み込む
CAMtastic の [ Files ] - Import コマンドを使用する。Quick Loard という一括読み込みの機能があり、これを利用すると基板を構成するファイルをまとめて読み込むことができる。
(2) ネットリストを抽出
レーヤ属性の設定、レーヤオーダーの設定、ネットリストの抽出という一連の作業を行う。
(3) CAMtastic のデータを Altium Designer の PCB データに変換
[ Files ] - Export - Export to PCB コマンドで Protel に データを送る
(4) Altium Designer に読み込まれた PCB データからビアを抽出して変換
変換された PCB データはランド部分は全てパッドになっており、ビアとの区別がない。このため、Find Similar Objects の機能を使ってビア部分を検出し、この部分をビアに一括変換する。
(5) Altium Designer の PCB 編集機能を使って修正
変換元データがガーバですので、そのままでは部品単位での移動はできない。このため部品の移動を行う場合には、[ Tools ] - Convert - Create Union from Selected Components コマンドを使ってパッドをグループ化する。さらにこのメニュー下部にある、Add Selected Primitives to Component でシルクをグループ化する。これら機能を使用すると、オリジナルの CAD データと同じように部品単位での移動が可能になる。
さらに Altium Designer ではその豊富な機能を駆使して一旦読み込んだガーバーデータを、オリジナルのPCB データに近付けることができます。もしAltium Designer または、旧プロテルで描かれた回路図があれば、回路図と整合する Altium Designer の 完全なPCB データに復元することができます。この手順については DesignWave 誌の記事で詳細に解説してあります。 ただし冒頭2ページしか公開されていませんので、詳細をお知りになりたい場合には、アンビルコンサルティングまでお問合せ下さい。
http://www.cqpub.co.jp/dwm/Contents/0089/dwm008900390.pdf
しかし完全なPCB データへの復元にはかなり手間がかかります。簡単な修正なら(ガーバーエディタを経由して)単に ガーバデータを Altium Designer に読みこんだだけの状態で編集したほうが楽だと思います。
Altium Designer では比較的簡単にガーバーデータを読み込み、使い慣れた PCB 編集機能を使って修正することができます。「ガーバー はなにかと面倒」という先入観を捨てて一度この方法をお試しください。
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2008年01月31日
Altium Designer のベタ塗り
Altium Designer ベタ塗り機能のデザインルール設定
(2006年5月17日の記事に加筆/転載)
Altium Designer の PCB エディタは、四角形しか作れない Fill、自動抜き機能を伴わないSolid Region、自動ベタ抜きの Polygon Pour の3 種類のベタ塗り機能を備えています。
Solid Region は思い通りの形状の面パターンが作りやすいので配線パターンの補強などに便利であり、Polygon Pour を使うと広い面積の均一なシールドパターンを瞬時に作成することができます。
これらのベタは一般的なマウスのドラッグとクリック操作で簡単に作れます。しかしクリアランスの設定がわかりにくくて、私はこれにずいぶんてこずりました。そこでこの経験を踏まえ、このクリアランスルールの設定のコツを伝授したいと思います。
(1) Polygon Pour(自動ベタ塗り)では自動生成されたクエリーを修正することが必要。
デザインルールのクエリーの設定には、Query Builder を使うと便利です。例えばこの Polygon Pourのクリアランスを設定する場合には、 Condition Type から Obhject Kind is を選び Condition Value から Poly を選びます。この結果 IsPolygon の値が返され OK ボタンによりクリアランスルールのFull Query エリアにクエリーが書き込まれます。
しかし IsPolygon ではエラーが発生し、正しく動作させるためにはこれを InPoly に変更することが必要です。すなわちIs を In に変更(Poly と Polygon は同じ扱い)しなくてはならないということがわからず、アルティウム ジャパンに問い合わせるまで正しく設定できませんでした。
この Is と In の違いと用法は、「クエリ言語の 内部紹介ガイド」 http://www.altium.com/Files/learningguides/JP/ProtelDXP/insidersguide_querylanguage.pdf に詳しく説明されています。
要するに Polygon は複合オブジェクト(グループオブジェクト)であるので、その構成要素(プリミティブオブジェクト)を指し示す「In」 の記述が必要であるということのようです。
(2) Condition Value で PolyRegionを選ぶと誤ったクエリーが返ってきます。
Query Builder を使用すしてSolid Region (自動抜きの無いベタ塗り)のデザインルールを設定する場合、通常は Condition Type から Obhject Kind is を選び Condition Value から PolyRegion を選びます。しかしここの操作を行うとなぜか IsComponentBody の値が返ってきます。
ためしに Condition Value から ComponentBody を選んだところ IsRegion が返ってきましたので、ComponentBody と PolyRegion が入れ違っていることがわかりました。このため、Query Builder を使って 正しいQuery を得るためには、PolyRegion ではなく ComponentBody を選ばなくてはなりません。
そしてもう一つ、
(3) IsRegion で設定したデザインルールはPolygon Pour(自動ベタ塗り)にも影響します。
たとえば Polygon Pour の Fill Mode を Solid(Copper Regions)に設定した場合、IsRegion で設定したクリアランス値が Polygon Pourにも適応されますので注意が必要です。
Fill のクエリーの生成とデザインルールについては特筆すべき注意点はなさそうです。
おそらくここで取り上げた設定上の不可思議は、ソフトウェアの修正によって解消されると思いますが、それまではこの説明を参考にしてください。 ※ Summer08 ではこの不具合は解消されています。
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2008年01月18日
Altium Designer の部品表
前回、レポート機能を紹介しましたが、その中の部品表について少し説明を加えます。
"Bill of Materials" コマンドを起動するとすぐに部品表が現れます。この画面には、ボタンやチェックボックス、プルダウンウィンドウなどがあり、これらによりおおよその機能が把握できます。そしてこれらの機能を使って部品表をカスタマイズすることができます。
しかしこの部品表には、画面を見ただけではすぐに気が付かない重要な機能があります。
その一つがグループ機能です。特定のフィールドーデータを参照して同じデータを持つものを一つのグループにまとめて員数を集計する機能です。デフォルトでは、Comment と Footprint によってグループ化されるように設定されています。この設定は、ドラッグ アンド ドラッグで "分類する列"のエリアにフィールドを加えたり、除外したりすることによって行います。例えば、メーカ名ごとに部品の員数を集計したい場合には Manufaucture フィールドを"分類する列"の部分にドラッグ アンド ドラッグで移動します。
もう一つは、ソート機能です。表示された部品表の各列の最上部のタイトル部分をクリックすると、昇順/降順での並べ替えができます。これについては他の Windows アプリケーションと同じです。しかしこの Altium Designer の部品表には、"Shift" + クリック に特別なソート機能が割り当てられています。
"Shift" + クリック でも、単なるクリックと同様に昇順/降順での並べ替えが実行されます。しかしこの"Shift" + クリック の場合には以前に実行された並べ替え結果を保持したまま、並べ替えが行なわれます。
例えばまず、RibLif のタイトルをクリックして部品の種類ごとに並べ替えます。これで、抵抗やコンデンサなどの部品ごとに分類表示されます。そしてそのあと、Comment のタイトルを "Shift" キーを押しながら クリック すると、直前に行なった RibLif での抵抗やコンデンサなどの部品ごとの分類結果を保持したまま Cmment(抵抗やコンデンサの定数 )での並べ替えが行なわれます。
この"Shift" + クリックによる並べ替えは見落としがちな機能ですが、実用上必要な機能ですので覚えておいてください。
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2008年01月17日
Altium Designer のレポート
言うまでも無くCAD ツールの最大の利点は、データによる設計情報の伝達が可能なことですが、図面の目視による情報の伝達においても CAD には多くの利点があります。特に Altium Designer は多くの優れたレポート機能を備えており、これらから生成される多彩なドキュメントを設計内容の確認や、次の工程への情報の伝達に利用することができます。
そこで今回は、数ある Altium Designer のレポート機能の中から主要な 3 つの機能を紹介します。
(1) スマート PDF
回路図やPCBなどのデザインデータを PDF フォーマットへ変換します。
プリンタドライバとして組み込まれた PDFWriter/Acrobat DistillerPDF などを利用する場合よりも格段に操作性がよく、任意の複数のドキュメントを一気にPDF フォーマットで保存することができます。また、PDFのしおり機能を利用して目的のオブジェクトにジャンプすることができます。
Altium Designer の製品ライセンスが無くても、フリービューワを利用すれば図面を開くことができますが、このスマート PDF機能を利用すればこれよりもさらに簡便な方法で回路図を利用することができます。
(2) ライブラリレポート
ライブラリファイルに含まれている部品の図面を自動的に作成します。回路図シンボルやフットプリントの絵柄と寸法が示されます。事前にライブラリの内容を確認したいという場合に便利です。また設計完了後にプロジェクトライブラリを作成してそのライブラリからライブラリレポートを作成することにより、設計に使用した部品に誤りが無いかどうかのチェックを容易に行なうことができます。
なおこのレポートは WS Word および html フォーマットで保存することができます。
(3) 部品表 (Bill of Materials)
フォーマットを柔軟にカスタマイズすることができます。表示項目を部品の属性およびスペシャルストリングから自由に選択するこtができます。また、リンクしている回路図シンボルとPCBフットプリントの両方の属性を表示項目に加えることができます。さらに、グループ化の機能がありますので部品手配の際に必要になる員数の集計を自動的に行なううことができます。
すでにこれらの機能をお使いの方も多いと思いますが、まだお使いでない導入直後のユーザやトライアル中の皆様は是非とも一度お試し下さい。
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2007年12月14日
Altium Designer 6.8 続編 2
もう一つ PCB の実用的な新機能をご紹介します。
今まで手間取っていた抜き文字を簡単に入れられるようになりました。
手順は通常のストリングの配置と同じです。ストリング設定のダイアログボックスに、Inverted (ネガ文字)のチェックボタンがあり、これにチェックを入れるだけで反転文字が現れます。ただし抜き文字に使えるフォントは TrueType に限定されています。
文字枠は自動的に発生し、この文字枠の大きさは文字に対するオフセット値または、四角形の縦横の寸法入力により指定することができます。
従来は、別のレーヤに文字を配置して CAMプロセスで反転合成していましたが、このような処理が不要になります。ただ一つ残念なのは、文字枠にネットを付けられないことです。このためグランドベタに抜き文字を入れる場合にはひと工夫が必要です。
私の希望的観測ですが、おそらくこの文字枠へのネットの付加については、アルティウムの R&D でも開発テーマの一つにあがっているのではないかと思います。
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2007年12月01日
Altium Designer 6.8 の続編
Altium Designer 6.8 の配布が始まり、アルティム ジャパンのサイトでも正式にリリースの案内が行なわれています。
すでにお伝えしたように、この新版では 3D 表示機能が大幅に拡張されており、これが最大の改良点であることは言うまでもありません。しかしこれだけではなく、今まで要望の多かったプリミティブな PCB 機能にも拡張が行なわれています。
これらは 3D 機能ほど華やかではありませんが、実用的な機能が多く含まれていますので、その中からいくつか代表的なものをご紹介します。
(1) グラフィックデータの貼り付け
グラフィックデータを PCB 上に直接貼り付けられるようになりました。コマンドが見当たらなかったので、ペイントの画面から Copy & Past したところ、うまく貼り付けることができました。
(2) バーコードの自動生成と貼り付け
バーコードを PCB 上に簡単に挿入できるようになりました。コマンド操作は、従来のフリーテキストの挿入と同じですが、ダイアログボックス上のバーコード設定ボタンが追加されています。これにチェックを入れると、テキストが自動的にバーコードに変換されテキストと同じように PCB 上に配置することができます。
アルティウムのデモビデオ
http://www.altium.com/VideoPlayer/FLVplayer.html?lib=ad68_flv&flid=1
(3) 任意に選択したオブジェクトを Polygon Pour に変換
従来 Polygon Pour の外形は Plece Polygon Pour コマンドでのみ作成が可能でしたが、Altium Designer 6.8 では任意に選択したオブジェクトを Polygon Pour に変換できるようになりました。これにより、2D Line や Arc を使って作成した複雑な絵柄を Polygon Pour の外形として使用することができます。また、DXF 経由で読み込んだ絵柄を Polygon Pour の外形として使用できますので、複雑な形状のベタエリアを作る場合には大変便利です。
アルティウムのデモビデオ
http://www.altium.com/VideoPlayer/FLVplayer.html?lib=ad68_flv&flid=4
(4) 基板の切り抜き
基板の切り抜きが定義できるようになりました。切り抜き部分の定義は Solid Region の配置によって行います。この Solid Region の属性に Board Cutout の属性が追加され、これにチェックを入れると基板の切り抜きになります。 当然この切り抜きを CAM データとして出力することができます。
アルティウムのデモビデオ
http://www.altium.com/VideoPlayer/FLVplayer.html?lib=ad68_flv&flid=2
今まで、外国製の PCB CAD はインテリジェントな機能は充実しているが絵柄の入力が不便、という一般的な評価がありました。しかし今回のアップデートではこの点もずいぶん改良されたように思います。
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2007年11月13日
Altium Designer の自動配線
自動配線に関する問合せがありましたので、旧プロテル探検隊の内容に修正を加えて転載します。
旧プロテルの自動配線(オートルータ)の高性能化は、企業買収によって取得したNeuroRoute をAdvanced Route3としてProtel ブランドで販売することから始まりました。その後、改良が進められましたが、統合環境への組み込みや、PCBとの連携の強化を主としたものであり、配線能力については一進一退の状態でした。また理由は分りませんが、Advanced Route3 から Route 98 へのバージョンアップの際には、結線率が低下しました。そしてこの後退を十分にリカバーしきれない状態がしばらく続きました。
現在のAltium Designerのオートルータには、Situs という名称が与えられ、着実に進化しきてています。そこで、配線能力の改良の様子を調べてみることにしました。
配線に使用したコンピュータは、Athlon XP 1800、メモリ約750MB、Windows-XPのノートブックPCです。精密なデータは取っておりませんので、この結果は大まかな傾向を示すものとしてお受け取りください。
まず、部品面パターン配線結果をご覧ください。細部は無視して配線全体の傾向に注目してください。電源はあらかじめ手配線しました。
手配線 - ずいぶん時間がかかりました
トラック数=2325 ビア数=62
Protel 99 SE - デフォルト設定で1分45秒で配線完了
トラック数=3127 ビア数=164 ショート2箇所 未結線1箇所
Protel 2004 - デフォルト設定で2分55秒で配線完了
トラック数=2515 ビア数=125 設定ミスによる未結線1箇所
新しいAltium Designer(Protel 2004)の結果をみると、配線イメージからより的確な経路に配線されていることが伺え、セグメント数やビア数を比べても効率的な配線が行われていることがわかります。これはなかなか Good です。この結果から、Altium Designer(Protel 2004) では、Protel 99 SE に対して、的確な配線パスを見つける能力が劇的に向上しているといえます。
そこで次に、配線の細部を見てみることにします。
残念ながら、以前のものと同様に不自然な部分が多く見受けられます。これらの部分については許容範囲を超える部分もあり、手直しが必要になるでしょう。このあたりの配線品質は、それほど大きく改良されていないようです。
結論として、Altium Designer(Protel 2004) のルータは非常に的確な経路に配線するように改良されています。以前に、他社のハイエンド・ルータをベンチマークによって調査した経験がありますが、この点についてはハイエンドの製品以上のものであると思います。一方、細部の配線形状については、手直しが必要な箇所が多々発生しますので、この点についてはさらなる進化を待たなければなりません。
いずれにせよオートルータは万能ではありませんので、その配線のクセをつかんでそれを補うような使い方をすることが大切です。時間があるときに、出来上がっている基板の配線をはがして自動配線してみるとよいでしょう。
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ここから下は、Altium Designer 6.7 による追試結果です。
上記とは異なったPC環境で試しましたので厳密な比較はできませんが、配線形状が Protel 2004 での結果とだいぶ異なっていますので、かなり手が加えられているように思います。
トラック数=2815 ビア数=142
トラックとビアの数は Protel 99 SE と Protel 2004 のちょうど中間です。ぱっと見の配線形状もそんな感じですが、配線形状を良く調べてみると、Protel 2004 に見受けられた不可解なループ形状の配線や不自然な角度の引き出しがほとんどなくなっており、数値に表れない部分での品質の改良が行なわれているといえます。
この Situs オートルータは、良好な配線品質が得られるだけでなく、ブラインド/ベリードビアもサポートしています。詳しくは以下の PDF ドキュメント(英文)をご覧下さい。
AR0128 Situs Autorouting Essentials
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古い回路図とUnique ID
回路図とPCBとのリンクがうまくいかないという問合せがありましたので、旧プロテル探検隊の記事を少し手直しして転載します。古いProtel 2004 の画像をそのまま使っていますのでメニューは英語のままです。
そのむかし、回路図を描いてPCBを設計するというボードレベルの設計を、回路図エディタとPCBエディタの2種類のツールだけで行っていました。しかし現在では、混在回路シミュレータや、伝送線路シミュレータなどのツールが使われるようになり、ひとつのCADツールのこれらの機能が統合されるようになりました。
アルティムはこのような統合ツールの代表的なメーカーであり、Altium Designer では、現在ボードレベルの設計に必要とされるあらゆるツールが統合されています。そしてこの統合ツールの進化の過程で Protel 99 以降、各ツールで作成されたデータ間のリンクを強固にするため、コンポーネントに Unique ID の属性が設けられました。
このID は、回路図作成時に自動的に付加されますので、新規に回路図を作成する場合には設計者がこの存在を意識する必要はありません。しかし、Protel 98 またはそれ以前の回路図エディタで作成された回路図読み込んで使用する場合には、この属性が含まれていませんので注意が必要です。
例えば、伝送線路シミュレーションを行う場合には、[ Project ] - Component Links... コマンドを起動して、回路図とPCBとの間の部品データをリンクさせます。この際に Unique ID が利用されますが、このIDが無い古い Protel 回路図ではリンクを確立させることができません。
そこでこの場合、回路図エディタから[ Tools ] - Convert - Reset Conponent Unique IDs コマンドを起動して、 Unique ID を付加することが必要になります。
このUnique IDは伝送線路シミュレーション以外にも多く利用されますので、古い回路図を読み込んだ場合には、必ずこのコマンドを起動するようにしましょう。
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2007年10月27日
ブログで FAQ - 続編 2
※注: この記事は「アルティウムの知恵袋」カテゴリー「ブログで FAQ - FAQLog 」での最後の投稿です。すでにこの「アルティウムの知恵袋」は更新を取り止めており、このカテゴリーは「アルティウムの情報箱」の「ブログで FAQ - FAQLog」に引き継がれています。
「ブログでFAQ - 今どきの10件」および「ブログでFAQ - 続編1」の続編ですので、先に以下ページをご覧ください。
http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/06/faq.html
http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/faq_1.html
Q1. プロテルとアルティウムとはどういう関係でしょうか?
まだ Altium にたどり着けずに迷子になりかかっているユーザが多いようです。Protel は Altium に社名変更され、商品のブランドも Protel から Altium に変更されました。
プロテルとアルティウム http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2006/10/post_20.html
Q2. アカデミックディスカウントはありますか?
学校および、一部の公共研究機関には特別価格で提供されています。授業などで多数のライセンスをお使いになる場合にも、ご負担をおかけすることがないよう特別な配慮が行なわれています。
アカデミックディスカウント http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/post_54.html
Q3. ビューワは提供されていますか?
Altium Designer のデータの表示のみ可能なビューワライセンスが用意されており、だれでも入手することができます。無料ですが、毎年ライセンスを更新する必要があります。また Altium Designer から出力した OrCAD 回路図を確認したい場合には、サードパーティのビューワが利用できます。
ビューワの利用 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/07/post_37.html
Q4. 設計を分担しているのになぜ統合環境が必要なのでしょうか?
統合環境は、一人で何でもこなすエンジニアだけのものではありません。業務を分担するときのデータのやり取りや、担当者間のコミュニケーションに真価を発揮します。統合環境は分業を円滑に行なうために必要ツールであることをご理解下さい。
統合ツールと設計の分業 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/post_51.html
Q5. Altium Designer の動作環境は? Windows Vista で動きますか?
Windows2000 以降の NT 系の OS で動作し、Windows Vista での動作も確認されています。メモリは 1GB 必要ということになっていますが、512MB でもとりあえずは使えます。 DirectX 9.0c 以降のドライバが必要であり、DirectX 9.0b では不具合が発生します。
Altium Designer の動作環境
http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/07/altium_designer_3.html
Q6. 古いプロテルを使っていますが
Altium Designer をすぐに使いこなすことはできるでしょうか?
統合環境である DXP プラットフォームの導入により、共通部分のユーザインタフェースが大きく変わっていますので、使い始めは手こずると思います。これに慣れれば後は簡単なはずです。
Altium Designer は難しい?
http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/altium_designer_5.html
Q7. トライアルプログラム で の評価に手間取っています。
もっと簡単に評価する方法はありませんか?
デモビデオが豊富に用意されていますのでご覧下さい。ビデオで概要をつかんだ後、要点だけをトライアルプログウラムで試すという方法が良いと思います。また、弊社では出張デモを行なっていますのでお申し付け下さい。
アルティウムのデモビデオ http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/05/post_34.html
アルティウムのビデオ http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/08/post_41.html
Q8. 社内で使っている 3D-CAD と連携できますか?
IGES と STEP フォーマットにより、相互にデータをやり取りすることができます。既設の 3D-CAD で部品の 3D ライブラリを作り、これを使って設計した PCB の3D データを 3D-CAD に戻して利用することができます。
3D-CAD との連携 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/test.html
Q9. PCB にデータを読み込むと四角い箱が出てきますがこれは何ですか?
Room と呼ばれるもので、部品のグループをグラフィカルにコントロールするためのものです。不要な場合には出ないように設定することができます。
Room が邪魔なときには... http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/room.html
Q10. 面付けはできますか?
同じ基板や異なる基板を自由に組み合わせることができる、大変便利な面付け機能を備えています。面付けされたデータは元の単面データにリンクしていますので、設計変更が行なわれた場合には面付けの後のデータに自動的に反映されます。
Embedded Board Array
http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2006/04/embedded_board_array.html
アルティウムの情報箱 「ブログで FAQ - FAQLog」 に続く
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3D-CAD との連携
昨今の 3D-CAD の普及に伴い、3D 機能についての問合せが増えてきました。Altium Designer 6 では 3D 機能についても積極的な開発が行なわれていますので、その概要をご紹介します。
Altium Designer には 3D 表示機能が備えられおり、設計中や設計を終えたPCB レイアウトを立体表示させることができます。また、Altium Designer は IGES および STEP フォーマットの入出力機能を備えていますので、単独で利用するだけではなく、外部の 3D CAD との連携が可能です。
まず、3D 表示を行なうには 3D ライブラリが必要になります。Altium Designer のライブラリには多くの 3D データが含まれていますが、この中に必要な部品の 3D データが無い場合には、外部の 3D-CAD で作成して Altium Designer の 3D ライブラリ読み込むことができます。また、デバイスメーカから提供されている 3D データも同様に利用することができます。
Altium Designer の 3D ライブラリ
必要な 3D ライブラリが全て揃うというわけではない
さらに、Altium Designer で設計を終えた PCB の 3D データを書き出し、外部の 3D-CAD で利用することができます。この機能により、3D-CAD での干渉のチェックや実装図の作成を容易に行なうことができます。
PCB の 3D View を IGES および STEP フォーマットで書き出すことができる。
以下のビデオで、SolidWorks 上の3Dモデルを Altium Designer に読み込み、さらに Altium Designer で設計したデータ の 3D 表示をSolidWorks に読み込んで表示させるという手順が紹介されています。
http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/player2.html?lib=ad66_nf&flid=3
また、アルティウムの以下のページで3D-CAD との連携機能を紹介しています。
http://www.altium.com/Community/Newsletters/February07/ECADMCAD/
伝え聞くところによると、次の Altiun Designer 6.8 では 3D 機能がさらに強化されるようです。Altium Designer の編集機能だけでなく、この 3D 表示や外部ツールとの連携機能にもご期待下さい。
Links:|Altium 情報局|Altium 問合せ・請求||Altium Designerユーザ情報サイト|
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2007年10月24日
PCB にロゴマークを入れる
PCB にロゴを入れる方法についての問合せがありましたので、旧プロテル探検隊にあった解説を転載いたします。ロゴの入力をはじめ、Protel 自身では出来ないことややりにくい仕事をこなすための小技が説明されています。
これは、旧 Protel 2004 以前の製品を対象にした説明ですが、これらの方法は Altium Designer でも使えます。ただし日本語入力については Altium Designer 自身でできるようになりましたので、現在では FontMan は不要です。
(1) 複雑な基板外形の作成
一般に電子系CADでは、図形を作成する機能が機械系 CAD のようには充実していません。Protel の場合もこの例に違わず図形の作成機能は十分とはいえないため、複雑な基板外形の作成に手間取る場合があります。このため複雑な形状の基板を設計する場合には機械系 CAD で基板外形を作成し、Protel PCB ツールの DXF 入力機能を用いて読み込むとよいでしょう。通常、筐体などの設計に用いられている機械系 CAD には大抵 DXF 出力機能はあるはずです。また、フリーで出回っているものの中にも十分な作図機能とDXF出力機能を備えているものがあります。
(2) PCB 上にロゴを挿入
Protel PCB ツールでは、TIFF などの印刷物用のグラフィックスファイルを読み込むことができません。このため、ロゴを挿入する場合にはグラフィックスを、Protel で読み込み可能な DXFまたは Gerber に変換する必要があります。もし、グラフィックス・ツール にこの変換機能が無い場合には外部のツールが要になります。この用途に使用できるツールのひとつに、フリーで提供されている BMP2LINE というソフトがあります。これを使うと、Windows BMP ファイルを DXF に変換して、Protel PCB ツールに読み込むことができます。このソフトの供給元は、Google で検索 するとすぐに見つかります。
(3) 日本語のシルク文字を挿入
シルク面に基板名などを日本語で入れたい場合がありますが、Protel PCB ツールには日本語を入力する機能がありませんので、外部のツールが必要になります。この用途に使用できるツールは有償/無償にかかわらず出回っていませんので弊社で、新型 FontMan というツールを用意しています。これは、TrueType 文字を Gerber に変換するツールです。Protel PCB ツールの Gerber 入力機能を用いて、新型 FontMan でGerber に変換された日本語をPCB 上に挿入できます。
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2007年10月23日
グローバルチェンジが無い
一括変更の方法についての問合せが多いので、旧プロテル探検隊から転載いたします。
旧 プロテル製品のユーザが良く使う機能のひとつに、グローバルチェンジがあります。この機能は、一括変更の手段として Protel 製品に初期の段階から備えられていましたが、Altium Designer ではこの機能がなくなり他の機能に置き換えられています。
グローバルチェンジは Protel DXP からなくなりました。Protel DXPを受け取ったとき、この機能がなくなっている事にはすぐに気が付いたものの、これに変わる新しい機能を見つけるのに結構手間取ったことを記憶しています。おそらくAltium Designer のユーザのみなさんも、この機能を見つけるのに難儀されることと思います。
Altium Designer では、一括変更は Find Similar Objects と Inspector の2つを組み合わせて行うように変更されています。手順は以下のとおりです。
(1) 編集対象の上にマウスのカーソルを移動し、右ボタンを押すとポップアップメニューが現れる。
(2) ニューから Find Similar Obuject を選ぶと、ダイアログボックスが現れる。ここで、一括条件の対象を絞り込む。この例ではResistor に絞り込んでいる。Select Matching にチェックがなければ、チェックを入れる。このあとApplyボタンを押し、そしてOKボタンを押す。
(3) 動的にInspector ダイアログボックスが表示される。この画面の値を修正することにより、絞り込まれた編集対象の属性値を一括変更することができる。
(4) さらに、List Window を使って一覧形式により 一括または、個別に属性値を変更することができる。List Window は、初期状態が表示モード(View)になっているため、編集モード(Edit)に変更することが必要。
これらの機能を使うと、従来以上に的確に対象を絞り込むことができ、より広範囲な属性の一括変更が可能になります。
InspectorとList Window は、データベースに直接アタッチしていますので、確認メッセージなしにデータが書き換えられます。もし間違った変更を行った場合にはUndoで復帰できます。
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ネットリストが読み込めない
Altium Designer と互換性の無い回路図から PCB を設計する場合、回路図が読めないのでネットリストの読み込みが必要になります。。
そこで、まずアレッと思うのは Altium Designer にネットリストの読み込みコマンドが見当たらないことです。それもそのはず、Protel DXP 以降はコマンドが消滅しており、別の新しい読み込み方法が提供されています。
そこで、この仕組みを説明すると、
Altium Designer は、2つのデータの 間の違いを比較することができる、強力なcomparator engine(コンパレータ・エンジン)を備えています。ネットの読み込みはこの機能を利用して入力ソース(ネットリスト)とターゲット(空の PCB レイアウト)の違いを探します。そしてもし両者に違いが見つかれば一方のデータを更新することにより、両者の違いを消滅させます。
例えば、作業を開始する時点で、ネットリストにはネットデータと部品データが含まれています。しかしPCB ファイルは何も無い空の状態ですので、PCB 上にネットと部品を発生させることにより両者のデータを一致させます。このような整合化の動作により、結果的に部品とネットが読み込まれるわけです。
この仕組みによる、ネットリストの読み込み手順は次のとおりです。
まず、新しい PCB プロジェクと空のPCB および ネットリストを用意します。これを Altium Designer に読み込んだ後以下の操作を行ないます。
(1) プロジェクト >> 相違点の表示 コマンドを起動する。
(2) 表示された、比較ドキュメント選択画面の詳細モードにチェックを入れる。これにより ウィンドウが2つ表示されるので、左で PCB ファイルを選択し右でネットリストファイルを選択する。そしてOK ボタンを押し両者の違いを比較する。
(3) 比較が終わると、Differences Between Netlist File and PCB Doc に両者の違いが表示される。この画面上でマウスの右ボタンを押すとポップアップメニューが現れるので、ここから Update All in PCB Document [New.Pcb.Doc] を選ぶ。
(4) この後画面が以下のように切り替わり処理がはじまる。処理が終わった後 、 ECO 設計変更指示を作成 のボタンを押す。
(5) さらに画面が以下のように切り替わるので、 変更の実行 ボタンを押す。
これでようやく読み込みが始まり、基板上に部品とネットが現れます。
以上のように Altium Designer では、ネットリストの読み込みはインポートではなく、相違を整合化するためのデータ更新作業であるといえます。ふつうの人はすぐにはこれに気付きません。ここで門前払いを食らって挫折した人も多いのではないでしょうか?
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2007年10月09日
Room が邪魔なときには...
とりあえず、導入直後は基本的な機能だけを使って仕事を始め、徐々に高度な機能へと応用範囲を広げていくというのが、スムーズな立上げを実現するため一般的な方法です。
Altium Designer の場合も例外ではなく、このような方法で運用を開始されている方々が多ようです。
この段階でいただくお問い合わせは、環境設定やデザインルールの設定に関するものが多いのですが、良くいただくお問合せの一つに、Room を消すのが煩わしいので出ないようにしたいというものがあります。
Room は、Update PCB で最初に PCB にデータを移すときに回路図シート 1枚に対して 1 つ発生し、その回路図上の部品が四角い箱でグループ化されます。そしてこの四角い箱は、部品配置が終わって Room を消去した後も、Update PCB を行なうたびに現れます。
とりあえずこの Room を使わないという場合には、Comparator の設定変更により出てこないようにすることができます。
Comparator の設定画面は、プロジェクト >> プロジェクト オプション を起動し、表示された Options for PCB Project ... のダイアログボックスから Comparator タブを選択することにより現れます。この画面に 2箇所の Room に関する設定項目がありますがこのうちの、Extra Room Definitions の設定を「違いを無視」に変更することにより、Update PCB での Room の発生を止めることができます。
Altium Designer はデザインデータ間の整合を取るために、Comparator 機能を使って双方の間の違いを検出します。どのオブジェクトをこの Comparator の検出対象に含めるかということをこの画面で設定でき、上記のように「違いを無視」に変更することにより、 Room が違いの検出の対象から外されます。
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2007年10月01日
ブログで FAQ - 続編 1
「ブログでFAQ - 今どきの10件」の続編ですので、先に以下ページをご覧ください。
http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/06/faq.html
Q1. スタンドアロンライセンスとネットワークライセンスとの違いは?
スタンドアロンライセンスは特定のクライアント PC に対して固定的にライセンスが与えられますが、ネットワークライセンスでは、サーバーを経由してクライアントにライセンスが能動的に配信されます。クライアントは Altium Designer が働いている時にしかライセンスを使用しませんので、ライセンス数を節約することができます。
スタンドアロンとネットワーク http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/09/post_47.html
Q2. ライセンスサーバプログラムにはどのような動作環境が必要ですか?
サーバーといっても特別な環境は不要です。Windows 2000以降の NT 系のOS が動いていればたいていの PC が使用可能です。
ライセンスのあれとこれ http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/post_48.html
Q3. ハードウェアプロテクトキー(ドングル)がありますか?
ハードウェアキーによるプロテクトは無く、その代わりにソフトウェアキーによるプロテクトが行なわれています。
ライセンスのあれとこれ http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/post_48.html
Q4. アップグレードやサポートにはどれくらいの費用がかかりますか?
Altium Designer 6 ではマイナーなリビジョンアップ(小数点以下の更新、例えば 6.0 → 6.7)は無料です。またメジャーなバージョンの更新は有料ですが、年間メンテナンスサポートに加入すると無償になります。年間サポート契約には複数の種類がありますが、製品価格の15%または20%の出費で無償バージョンアップの権利が得られます。
アルティウムの年間サポート http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2006/12/post_26.html
Q5. 古いプロテル製品からアップグレードしたいのですが可能ですか?
Protel DXP およびそれ以前の製品はバージョンアップできません。その代わりに優待割引きが適応され、Altium Designer を安価に手に入れることができます。
アルティウム製品を安く買う http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2006/06/post_8.html
Q6. トライアルプログラムにはどのような制限がありますか?
トライアルプログラムの機能は製品版と全く同じです。ただし30日間しか使えません。違いはこれだけです。プログラム自体が全く同じですので、当然作成した回路図やPCBファイルにも互換性があります。トライアルプログラムは、Altium Designer の持つ全ての機能が有効になっていますので、Foundation や Board Implementation などフルセット以外の製品を評価される場合には機能の構成にご注意ください。
Altium Designer の評価版 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/altium_designer_4.html
以下にトライアル版や製品版に用いられている、ライセンスシステムが説明されています。
ライセンスのあれとこれ http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/post_48.html
Q7.手持ちの SPECCTRA オートルータや HyperLynx Board SIM は使えますか?
標準で .dsn と .rte ファイルでの入出力機能を備えていますので、お手持ちのSPECCTRA オートルータがそのまま使えます。またHyperLynx の .hyp ファイルを出力することができますので、Board SIM もそのまま使えます。
他社のツールを併用する http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/09/post_45.html
Q8. OrCAD で作成された回路図ファイルやPCB ファイルを読めますか?
OrCAD Capture の回路図ファイルは、読み込みと書き出しの両方が可能です。OrCAD Layout のPCB ファイルは読み込みのみ可能です。
OrCAD Capture との互換性 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/01/orcad_capture.html
ビューワの利用 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/07/post_37.html
Q9. PADS で作成された回路図ファイルやPCB ファイルを読めますか?
PCB ファイルと回路図ファイルの両方とも、読み込みが可能です。
PADS 回路図の読込み http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/05/pads_logic.html
Q10. 機能をカスタマイズすることはできますか?
ユーザインターフェースのフルカスタマイズ、カスタムツールの組み込み、外部データベースとの連携機能など、豊富なカスタマイズ機能により社内環境に整合させることができます。
カスタマイズのお奨め http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/08/post_40.html
外部データベースとの連携 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/08/post_42.html
Q11. 国産部品の回路図ライブラリは充実していますか?
標準ライブラリには、約 80,000個のシンボルが用意されていますが、国産メーカの部品はそれほど多くはありません。欧米の部品のセカンドソースの場合には、名称を変更するだけで国産部品のシンボルとして使用することができます。他のいろいろな方法で既存の資産を再活用することにより、国産部品のライブラリの不足を補うことができます。また、オルグシステムズからは、充実した国産部品ライブラリ TechLIB-SCH が販売されています。
回路図ライブラリを使い回す http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/09/post_46.html
アルティウム(旧プロテル)関連商品 http://eda.store-web.net/
Q12. アルティウムのシェアはどれくらいですか?
これは難しい質問です。最近公開された資料によると、アルティウム社全体の売上げ規模は、国内最大手の Z 社の 3割くらいです。売上げ規模には大きな差がありますが、商品の単価を考慮すると数量ベースでは同等以上のシェアを持っているのではないでしょうか? シェアについてははっきりしませんが、ここのところアルティウムの売上げが急激に伸びていることだけは確かです。
アルティウムって売れてるの? http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/07/post_35.html
Q13. Altium Designer はなぜこんなに激しく進化するのでしょうか?
分業のしやすいビルディングブロックスタイルのアーキテクチャにより効率的かつ積極的な開発が行なわれています。また何よりもアルティウムには、ハイエンド製品をしのぐ能力の製品をローエンドの価格で提供するという役割があります。
Altium Designer 進化の構図 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/09/altium_designer_8.html
SPECCTRA、OrCAD は Cadence Design Systems, Inc. の登録商標です。
HyperLynx、Board SIM、PADS は Mentor Graphics Corporation の登録商標です。
Links:|Altium 情報局|Altium 問合せ・請求||Altium Designerユーザ情報サイト|
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ライセンスのあれとこれ
引きつづき、ライセンス管理のシステムに関する疑問にお答えいたします。
ライセンスロックの方法について - ハードウェアキーはありますか?
Altium Designer には従来用いられていたようなハードウェアキー(通称ドングル)はなく、この代わりにライセンスキーファイルが用いられています。
Altium Designer を購入すると、顧客番号とアクティベーションコードが提供されます。Altium Designer(またはそのライセンスサーバ)がインストールされている環境から、Altium 社の認証システムにアクセスし認証を受けます。認証後、ライセンスキーファイルが送られてきますので、そのキーファイルを規定の場所にコピーします。
このキーファイルは従来のハードウェアキーと同じように機能し、インストールされている Altium Designer を使用可能な状態にします。ただし従来のハードウェアキーのように、他の PC に差し替えて使用するということはできませんので、PC の入れ換えが必要になった場合には認証作業を再実行しなければなりません。
また、このライセンスキーファイルは、Altium Designer ライセンスの機能を決定します。
例えば Altium Designer には、製品版、トライアル版、タイムライセンス版、ネットワーク版、フルセット、Foundation、Board Implementation など様々な種類があります。しかしどのライセンスを購入しても、提供される CD-ROM は変わりませんので、インストールされるプログラムは全て同じです。
これらの機能のバリエーション、例えば製品版とトライアル版の違いはライセンスキーファイルによって作られます。このため製品版を購入した場合でも、トライアルプログラムがハードディスク上に残っている場合には製品版プログラムの再インストールは不要です。
この場合、製品ライセンスの購入によって提供された新しいアクティベーションコードで再度認証を行い、送られてきた新しいライセンスキーファイルに差し替えるだけで、トライアル版が製品版に早変わりします。
ライセンスサーバプログラムの動作環境とその動作について
ライセンスサーバは、ライセンスサーバ用のプログラムをサーバとして用意されたPCにインストールします。このライセンスサーバー用プログラムは、Windows2000以降の NT 系 OS 環境で動作します。
これらの使用可能なOS のうち、Windows 2003 Serever および、Windows Vista についてはインストール後の設定変更が必要です。またOS はサーバ用 である必要はなく、Windows XP Home Edition のようなクライアント用のOS でも充分です。Windows のサービスとして動作する小さなプログラムですので、リソースをほとんど消費しません。このためOS が安定に動作していれば非力な環境でも問題はありません。
サーバーというとつい大げさに考えてしまいがちですが、大それたものは必要なく、ごく普通の PC で充分だということです。
ライセンスサーバーは、単一のネットワーク上にあるクライアントに対しては、ブロードキャストによって自動的に接続を確立します。サブネットにより分断されている場合または、WAN 経由の場合には コンピュータ名または IP アドレスによって、クライアントを指定することが必要です。
サーバの設定はいたって簡単です。ほとんどトラブルには遭遇しませんが、以前に一度インターネットセキュリティの影響で接続がうまくいかないことがありました。このときは、Altium Designer の DXP.EXE をインターネットセキュリティから除外するように設定することにより回避できました。
DXP ライセンス・サービス・セットアップ・ ガイド
http://www.altium.com/files/learningguides/JP/GU0103_DXPLicenseServiceSetupGuide_jp.pdf
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2007年09月29日
スタンドアロンとネットワーク
Altium Designer にはスタンドアロンライセンスとネットワークライセンスが用意されています。すでにご存知の方も多いと思いますが、あい変らずどこが違うの?というお問い合わせが多いのでおさらいしておきます。
スタンドアロンライセンスはノードロックライセンスとも呼ばれるライセンス形態で、一台のPC上でのみ Altium Designer の使用が可能です。一方のネットワークライセンスはフローティングライセンスとも呼ばれるライセンス形態で、LAN で接続された任意の PC 上で、ご購入いただいたライセンス数の範囲内でAltium Designerを同時に使用することができます。
スタンドアロンライセンスでは Altium Designer がインストールされた自分の PC に直接ライセンスが与えられます。スタンドアロンライセンスは特定の1台 PC だけでしか使えないように固定されますので、ノードロックライセンスとも呼ばれます。
使用者が一人の場合には、このスタンドアロンライセンスが最適です。しかし複数の使用者が交代で使用するような場合には、使用者がAltium Designer のインストールされているコンピュータのところまで移動しなくてはならないので少々不便です。
また時々、スタンドアロンライセンスで、ライブラリの共有はできますか?という問合せをいただくことがありますが、これはライセンスの共有ではなくファイルの共有ですので、ライセンス形態に関係なく可能です。
一方のネットワークライセンスは、ライセンスサーバー用のプログラムがインストールされた、ライセンスサーバーに対してライセンスが与えられます。そしてこのライセンスはネットワーク経由して、 Altium Designer がインストールされたクライアントに能動的に配信されます。クライアントは Altium Designer が働いている時にしかライセンスを使用しませんので、ライセンスを有効に使い回すことができます。このネットワークライセンスはライセンスが特定の PC に固定されず、ネットワークを経由して自由に動き回りますので、フローティングライセンスとも呼ばれます。
クライアントとして使用できる PC の数には制限はなく、またどのクライアントでも Altium Designer を使用することができます。しかし同時にに使用できるクライアントの数は、ライセンスサーバに与えられているライセンス数に制限されます。
このネットワークライセンスでは、同時に何人使用するか?ということにより必要なライセンス数が決まります。
例えば10人のエンジニアが、自分のディスクトップ環境で Altium Designer を使いたい場合、スタンドアロンライセンスでは使用頻度には関係なく 10ライセンス購入することが必要になります。しかしネットワークライセンスの場合にはユーザが10人いても、使用頻度が低く同時に5人以上使うことが無ければ、5ライセンス購入すればよいということになります。
ネットワークライセンスは複数の使用者でAltium Designer を共有する場合に、大変便利なライセンス形態です。しかし一方ネットワークライセンスには Altium Designer を社外に持ち出しにくい、という難点もあります。
また、通常ネットワークライセンスは独立したサーバーにインストールしますが、Altium Designer がインストールされたクライアント環境に同居させることもできます。この用法を使うとより柔軟な運用環境を構築することができます。
例えば、モデル A にはクライアント環境にライセンスウサーバを同居させた例が示されています。この場合スタンドアロンライセンスの場合と同じように動作しますが、それ以上の何ものでもありません。
モデル B は、上記モデル A を他のクライアントのライセンスサーバとして用いる場合の例です。例えばノート PC にクライアントとサーバーを同居させておき、外出時にはこれを持ち出して使用します。そしてオフィスに帰れば、ディスクトップ PC にインストールされている Altium Designer のライセンスサーバーとして使用する、という使い方が可能です。
モデル C は、上記モデル B と独立したライセンスサーバーとを組み合わせた例です。例えば、同時に 5人が使用する場合には 5ライセンスのネットワークライセンスを購入することが必要ですが、5ライセンスを一括ではなく、1ライセンスと4ライセンスの 2つに分けて購入します。そして、1ライセンスの方を、サーバ-/クライアント共用のノート PC にインストールし、4ライセンスの方を専用サーバにインストールします。
この方法では常時 5人の使用が可能で、なおかつノートPCにインストールされたAltium Designer を社外に持ち出すことも容易にできます。
以上、2 種類のライセンス違いと運用例をご紹介しました。
スタンドアロンライセンスとネットワークライセンスは混在させることもできます。Altium Designer のフルセットと Foundation を混在させ、一方をネットワークライセンス、他方をスタンドアロンライセンスという組み合わせも可能です。
このようにフレキシブルな運用が可能ですので、複数のライセンスを導入される場合には、その運用環境の構築にも知恵を絞っていただきたいと思います。
なお、スタンドアロン/ネットワークライセンスのいずれにもドングルと呼ばれるハードウェアキーはなく、固有の PC 環境に合わせて発行された、ライセンスキーファイルの参照によってライセンスがアクティブになります。
このため Altium Designer ではプログラムのインストールが終わった後、アクティベーションと呼ばれる作業により、ライセンスキーファイルの取得とインストールが必要になります。
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2007年09月28日
回路図ライブラリを使い回す
CADを使った設計では「常に必要な部品がそろっていて、いつでもすぐに利用できる」という状態になっていないと能率が上がりません。
要するに部品ライブラリの充実と管理が必要なのですが、これがななか大変で、理想的な環境を構築しそのコンデションを保つには相当の労力が必要になります。
そこで今回は既存のライブラリ資産をうまく使い回して、効率よく仕事を行なうための機能を紹介します。
(1) 既存の回路図から部品を抜き取る
「 Design >> Make Project Library / デザイン >> プロジェクトライブラリの作成 」
例えば、以前に作成した古いプロテルの回路図や社外で作成した回路図を修正して再利用する場合には、回路図上に部品があっても、ライブラリには部品が見当たらない、ということがよくあります。
このような場合、プロジェクトライブラリの作成(Make Project Library)コマンドを使うと、回路図上に配置されている全ての部品を一気に抜き取り、一つのライブラリファイルに保存するこができます。この機能を使うとほんの数秒で部品ライブラリができてしまいますので、手間のかかる部品作成は不要になります。
この機能は、ライブラリの構築の際にも便利です。例えば、OrCAD やP-CAD、PADS で描かれた回路図を読み込み、プロジェクトライブラリの作成(Make Project Library)コマンドを起動すると、OrCAD やP-CAD、PADS の回路図シンボルを Altium のフォーマットに変換して、ライブラリに加えることができます。
(2) 部品のコピー
「 ライブラリパネル上の部品リストを コピーアンドペースト 」
必要な部品が見つからない場合、似通った部品を修正して利用します。この場合、まず元になる部品をコピーして持ってくることが必要になりますが、この作業をライブラリパネル上でのコピーアンドペーストで行なうことができます。
部品リストは複数選択が可能です。必要な部品を選択したあと右ボタンクリックでコマンドリストがポップアップします。同一ライブラリファイル内だけでなく他のライブラリファイルとの関で コピーアンドペーストできますので、ライブラリ内の部品構成を編集する際にも使用できます。案外、この機能の存在に気づいていない人も多いのではないでしょうか?
(3) 回路図上でのピンの移動
「Cmponent Propaties / コンポーネントプロパティ のピンロックを解除」
部品のピンを移動することにより、回路図上の配線の交差を少なくできる場合があります。このような場合、回路図上に部品を配置した後でも、ピンロックを解除することにより、ピンを自由に動かすことができますので、ライブラリの修正を行なう必要はありません。
(4) 回路図上でのピン属性の編集
「 Cmponent Propaties / コンポーネントプロパティ からピン編集を実行 」
シングルチップのCPU や FPGA デバイスでは、IO 端子の機能がプログラムできるようになっています。これらの部品を使用する場合、ピン編集機能を使用することにより、回路図上に部品を配置した後でピン属性を編集できますので、ライブラリの修正を行なう必要がなくなります。
限られたライブラリリソースを有効に使用するという意味において、他にも役立つ機能があります。
(5) ライブラリレポート
「 Report >> Library Report / レポート >> ライブラリレポート 」
ライブラリを図面化することにより、目的の部品をすばやく見つけることができます。必要な部品が見つからず、同じ部品を何度も作ってしまうというような無駄を避けることができます。この機能については以下に説明があります。
http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2006/05/post_7.html
(6) 外部ドキュメントを F1 キーによりアクセス
「HelpURL パラメータを設定」
部品パラメータにHelpURLキーワードを記入し、URL アドレスを書き込むことにより、F1 キーで URL にアクセスすることが」できます。この機能を使うとF1 キーで部品のデータシートを瞬時に表示させることができます。
(7) 既存ライブラリの各部品のパラメータを一覧画面で編集
「パラメータマネージャの活用」
パラメータマネージャーを使うと、複数の部品のパラメータを一覧形式で編集することができます。標準ライブラリを、自社の仕様に合わせて修正する場合などに便利です。
他にもいろいろ便利な機能があります。充実したライブラリの構築とその一元管理に加え、既存のライブラリを小技で使い回すことも必要だと思います。
OrCAD は Cadence Design Systems, Inc. の登録商標です。PADS は Mentor Graphics Corporation の登録商標です。
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2007年08月30日
外部データベースとの連携
MRP ERP といった基幹システムが構築された環境下では Altium Designer 6 とその基幹システムとの連携が要求されます。そこでこれを、「機能の連携」と「データの連携」の2つに分けて考えてみます。
まず、2つのシステムを連携させる場合には、相互に機能をアクセスすることが必要になります。例えば相手のシステムを制御するためのコマンドを発行したり、また相互の通信に必要な複雑な手続きを自動化するといったことが不可欠です。Altium Designer 6 ではこの「機能の連携」を、洗練されたカスタマイズ機能によって実現することができます。
カスタマイズのお奨め http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/08/post_40.html
またドキュメントやライブラリの管理を一元化するためには、ファイルの受け渡しやデータベーステーブルの参照によるデータの交換が必要になります。このような「データの連携」を可能にするために Altium Designer 6 では使用頻度の高い、標準的なドキュメント・フォーマットでの読み書きを、広範囲にサポートしています。
加えて、Altium Designer 6 には、外部データベースとの高度な連携機能が備えられており、データベースリンク機能とデータベースライブラリの機能により、MRP/ERPの管理下にある外部データベースのテーブルからデータをダイナミックに取得することができます。
おおよそ、このような機能により連携が可能になりますが、この中の外部データベースとの連携機能についてもう少し詳しく紹介します。
例えば、工場を持つ事業所では MRP などの管理システムが稼働しており、この部品データベースには、品名/品番だけでなく、メーカ名、セカンドソースの品名、価格、発注単位、梱包単位、在庫数などの豊富なデータが含まれています。そしてこれらのデータは日々刻々と更新されていきます。
Altium Designer 6 では、これらの部品データを CAD 部品の属性として取り込み、回路の設計およびその結果として出力される、パーツリストなどのドキュメントに反映することができます。そして、Altium Designer 6 は2つの方法でこのデータベースとの連携をサポートしており、その一つがデータベースリンクでもう一つが、データベースライブラリです。
この、データベースリンクは、外部データベースのテーブルにダイナミックにリンクし、リンクフィールドの値が一致したレコードの属性を CAD 部品の属性として取り込む機能です。いわゆるリレーショナルデータベースで言うところの、キーの設定によるテーブルの連結です。そして、もう一つのデータベースライブラリ機能は、CAD 部品ライブラリ自体を外部データベース上に構築します。
両方とも同じ目的で用意された機能ですが、データベースライブラリの場合には、データベースライブラリから直接部品を呼び出して配置することができます。さらにデータベースライブラリの場合には、外部データベースによる包括的な CAD 部品の管理が可能になりますので、CAD 部品管理の主体を設計者からデータベース管理者に移管する場合には好都合なのではないかと思います。
これらのデータベース連携機能については、以下のドキュメントが用意されていますのでご覧ください。
AP0133 データベースライブラリ機能の解説 - 英文
AP0134 データベースリンク機能の解説 - 英文
AP0143 データベースライブラリへの移行機能の解説 - 英文
TU0119 データベースリンク機能のチュートリアル - 和文(Protel 2004)
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2007年08月23日
カスタマイズのお奨め
Altium Designer 6 は極めて多機能な製品ですので、全ての機能を紹介することはできません。このためお客様の運用環境での課題を探りながら、紹介の範囲を絞り込むことが必要になります。
そしてこの場合、どうしても目先の編集機能の紹介に終始しがちになり、無くてもすぐには困らないというような機能については、つい後回しになってしまいます。
しかしながら、 Altium Designer 6 の優位性は目先の機能よりも、その洗練されたアーキテクチャにあり、この優れたアーキテクチャがもたらす無限の可能性についての訴求をおろそかにすることはできません。
そこで今回は先進のDXP プラットホームの特徴と、この環境から得られる大きな成果の一つとして、Altium Designer 6 の洗練されたカスタマイズ機能を紹介したいと思います。
Altium Designer 6 は、DXP プラットホームを核とした Client/Server 構造で構成されており、クライアント として動作する DXP プラットフォームに、アプリケーションロジックを実行する多くのサーバがプラグインされています。そして、DXP プラットフォームとアプリケーションサーバは、それぞれの持つAPIを経由して相互に連携し、要求されたタスクを実行します。
このシステムには以下のような特徴があり、Altium Designer 6 のカスタマイズ機能はこの特徴を如実に反映したものであるといえます。
(1) ツールの統合が容易
(2) ツール開発の分業が容易
(3) 公開されたAPIにより各ツールの機能に深くアクセスすることが容易
そこでまず、次の図をご覧ください。
これは、カスタマイズ機能の要であるスクリプト実行環境の概念を示したものです。
DXP プラットホームとこれにプラグインされたアプリケーションサーバは、公開された API を備えており、複数の言語に対応するインタプリタとこの API を経由してスクリプトを実行することがでいます。サポートされている言語は、DelphiScript、Enable Basic、VB、JScript と広範囲で、用途および習熟度に合わせて使い分けることができます。
もちろん、コンパイルされたプログラムから API にアクセスすることもできますので、より本格的なカスタムアプリケーションを開発して組み込むことができます。
このスクリプト機能の応用事例が、以下のページで紹介されています。
http://www.altium.co.jp/Community/Newsletters/May07/Increaseyourproductivity/
http://www.altium.com/files/pdfs/Increaseyourproductivity_JP.pdf(同- PDF 版)
この例は、ビットマップ形式さ作成された会社ロゴファイルを、PCBに取り込むという作業を自動化するものです。これにはピクセルからトラックへの変換という複雑な処理が伴いますが、スクリプトを使うことにより、このようなことも容易に実現できます。
どうでしょうか?なかなか気がきいていると思いませんか?
さらにアルティウムでは以下のドキュメント、および事例や雛形の提供により、カスタマイズに対するサポートが行なわれています。
TU0105 Customizing the Altium Designer Resources
メニュー、ツールバー、ショートカットキーのカスタマイズ機能の概要とカスタマイズの手順を具体的に説明
GU0120 A Tour of the Scripting System
スクリプトシステムの全体像と用法の概説
TU0121 Getting Started with Scripting
シンプルなDelphiScript を例題にして、スクリプトの作成および実行の手順の具体的な説明
TU0125 Building Script Projects
DelphiScriptとVBScriptによるスクリプトの実例により、ネットリストの生成やボード外形のコピー、およびクエリーの実行プロセスウが具体的な説明
AR0134 What is the Altium Designer RTL
スクリプトおよびカスタムアプリケーション(サーバ)からアクセスウ可能な、Altium Designer のランタイムライブラリの概要と用途の説明
GU0117 Using the Altium Designer RTL
Altium Designer のランタイムライブラリの用法をサンプルスクリプトを用いて具体的に説明
TR0119 Component Reference
Altium Designer の DelphiScript、VBScript、JavaScriptでサポートされている、コンポーネントとそのメソッド/プロパティの説明
TR0120 DelphiScript Reference
Altium Designer でサポートされている DelphiScript のリファレンスマニュアル
TR0121 Enable Basic Reference
Altium Designer でサポートされている Enable Basic のリファレンスマニュアル
TR0122 JScript Reference
Altium Designer でサポートされている JScript のリファレンスマニュアル
TR0123 Script Examples Gallery Reference
Altium Designer に添付されているスクリプトサンプル(雛形)の内容を説明したリファレンスマニュアル
TR0124 Server Process Reference
Altium Designer のサーバープロセスを包括的に説明した、リファレンスマニュアル
TR0125 VB Script Reference
Altium Designer でサポートされている VB Scriptのリファレンスマニュアル
TR0135 Altium Designer System Reference
Altium Designer の 各 RTL (Run Time Library) の API を包括的に説明
TR0136 Integrated Library API Reference
統合ライブラリ・インタフェイスを提供する RTL のAPI を概説
TR0137 FPGA API Reference
FPGA 開発機能を提供する RTL のAPI を概説
TR0138 PCB API Reference
PCB 設計機能を提供する RTL のAPI を概説
TR0139 Schematic API Reference
回路図作成機能を提供する RTL のAPI を概説
TR0140 Workspace Manager API Reference
ワークスペース(画面まわり/作業領域)インタフェースを提供する RTL のAPI を概説
TR0141 DelphiScript Keyword Reference
DelphiScript のキーワードを解説したリファレンスマニュアル
このようにAltium Designer 6 では、極めて柔軟で多彩なカスタマイズ機能に加え、充実したサポートが提供されています。
これを遊ばせておく手はありません! ぜひとも、この卓越したカスタマイズ環境もご利用ください!
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2007年07月31日
Altium Designer の動作環境
2002年に DXP プラットホームを用いた最初の製品である Protle DXP がリリースされ、Altium Designer 6 はこの Protel DXP かのアップグレードによって生まれました。この間 5年にわたる開発努力により、Altium Designer 6 は非常に高性能かつ安定に動作する製品に進化しています。
またこの間に安定期に入った OS や、 PC ハードウェアなどのPCプラットフォームの進化が、Altium Designer 6 の高性能化と信頼性の向上に寄与したことも確かです。
そこで今回は、このAltium Designer 6 を動かす PC プラットフォームに関連する事項を、いくつか取り上げてみたいと思います。
(1) Windows Vista への対応
Altium Designer 6 は Windows Vista にフォーカスした開発された製品ではありません。しかしながらVista 上での動作確認は行なわれており、Windows Vista Compatible という表現により Vista 上での動作が保証されています。詳細は以下ドキュメントの 21 ページをご覧ください。
http://www.altium.com/files/pdfs/WhatsNewinAltiumDesigner6.7.pdf
(2) DirectX
Altium Designer 6 では描画を高速化するために DirectX API を利用しており、高性能なグラフィックボードとのDirectXとのコンビネーションにより、20倍近くの高速化が可能であることが示されています。しかしながらDirectX のリビジョンは最新の 9.0c でなければならず、9.0b などの以前のリビジョンでは、不具合が発生します。
以下の不具合も古いリビジョンの DirectX プログラムによるものでした。
・ 特定のダイアログボックスが開かず "Error:creating options page"
というメッセージが表示される。
・ PCB のライブラリファイルを開けない。
弊社に報告された事例はこの 2件だけですが、他の症状がでることもあると思います。もし表示に関する不具合が発生した場合には DirectX のりビジョンを確認してください。DirectX に関する情報の入手およびダウンロードは、以下のページで行なうことができます。
http://www.microsoft.com/japan/windows/directx/default.mspx
(3) メモリ容量
Altium Designer 6 の動作環境として、最低でも 1GB のメモリの搭載が必要であることが示されています。今ではメモリも安く、1GB のメモリの搭載は当たりまえになっていますのであまり問題になることはないと思います。とはいえ当面は少ないメモリ環境で我慢しなくてはならないという場合も考えられ、512MB 程度の環境で動くかどうかということが気になるところです。
この結論として、「512 MB でも動くので、少なくともメモリ環境が 1GB に満たないことを理由に導入を先送りする必要は無い」 ということがいえます。偶然にも当方では最近 PC のメモリが故障し、 512MB の環境で Altium Designer 6 を動かしていますが、特に不具合なく動いています。さすがにこの環境で他のアプリケーションを同時立ち上げると動作が鈍くなります。しかしこれは Altium Designer 6 に限ったことではなく、Microsoft のアプリケーションでも同じです。
このように Altium Designer 6 だけが突出してメモリを大食いするという訳ではありません。実際に512MB で動きますので、正直なところ、必要メモリの表記は最小 512MB、推奨 1GB といった程度が妥当なところなのではないかと考えています。
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2007年06月28日
ブログで FAQ -今どきの10件
プロテル探検隊から数え、ブログを始めてから2年半を越えました。
この間の投稿の多くは、お客様からのご質問に対する回答をまとめたものです。このため最近では、お問い合わせに対する回答の際に、ブログの該当ページを参照していただくことが多くなりました。
そこで、よくあるお客様からの質問 とブログへのリンクアドレスを書き並べるだけで、FAQ として使えるのではないかと考え、これを試してみることにしました。
Q1. Altium Designer の日本語マニュアルはありますか?
今のところ出来上がっていませんので、Protel 2004 のPDF ドキュメントをご利用ください。
Protel 2004和文ドキュメント http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2006/12/protel_2004.html
Q2. セミナーに参加したいのですが日程と内容はどこに案内されていますか?
現在、ホームページ上では日程や内容の案内は行なわれておりません。このため、アンビルコンサルティングでは、ご購入直後のユーザさまに対して、e-mail でご案内させていただいております。なおセミナーの概要は以下をご覧下さい。
トレーニングセミナーの近況 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/post_49.html
Q3. Altium で設計可能な業者さんを紹介してください。
Altium で基板設計します http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/06/altium_3.html でご紹介しておりますので、直接お問い合わせください。
Q4. Altium Designer では旧バージョンのデータを読み込めますか?
他機種との互換性 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2006/09/post_14.html で、他社製品や旧バージョンとの互換性が説明されています。Protel のほぼ全ての旧バージョンがサポートされています。
Q5. 一括変更の方法を教えてください。
以前のProtel ツールが備えていたグローバルチェンジの機能は、さらに利用価値の高い新機能に置き換えられています。
グローバルチェンジが無い http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/post_53.html
Q6. 回路図上に配置したポートの飛び先を表示することはできますか?
可能です。 ポートの飛び先表示 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2006/05/post_6.html
Q7. サポートされているネットリストの種類が少ないので困っています。
アドオンを組み込むことによって拡張できます。
Altium のネットリスト出力 http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2006/05/altium.html
Q8. ネットリストの読み込み方法を教えてください。
Project - Show Differences コマンドを使用します。
ネットリストが読み込めない http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/post_52.html
Q9. PCBにロゴを張り付ける方法を教えてください。
グラフィックデータを DXF に変換すればPCBに取り込むことができます。
PCB にロゴマークを入れる http://anvil.co.jp/altium-info/cadlog/2007/10/pcb_1.html
Q10. CAMtastic でデータのコピーや移動をする方法がわかりません。
CAMtastic の操作性はAltium Designer の他のツールとかはかなり異なっています。
CAMtasticの操作性 http://eda.ac/yota/archives/2005/06/camtastic_2.html
変更箇所が多い場合にはPCBファイルに変換して、PCBエディタを使って修正する方が効率的かも知れません。
続 CAMtastic を併用する http://eda.ac/yota/archives/2005/07/_camtastic.html
以上、最近の代表的な10件の Q&A を拾い上げてみましたがどうでしょうか? お問い合わせの前にこれをFAQ として、ご一読いただければ幸いです。
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2007年05月10日
PADS 回路図の読込み
Altium Designer 6.7 で実現された見逃せない新機能一つに、PADS Logic の回路図およびライブラリファイルの読込み機能があげられます。
回路図エディタの分野では PADS はあまりメジャーな存在ではなく、回路図を描くことを目的に PADS 製品を購入されたというケースは稀なのではないかと思います。しかし PADS PCB や OADS Power PCB のためのデザインエントリーツールとして、PCB ツールとのバンドルで販売されていましたので、案外ユーザ数は多いのではないでしょうか?
私自身も以前 PADS のセールスをしていたとき、多くの方々に PADS Logic をご購入いただきました。OrCAD SDT4 が全盛のころの話ですが、当時の他社製品と比較して PADS Logic はとても使いやすいツールでしたので、PCB 設計のフロントエンドとしてはけっこう好評でした。
このような経緯もあり PADS 回路図との互換性についてはずっと気になっていました。
今回の Altium Designer 6.7では改良された PADS インポートウィザードにより、PADS 回路図 ファイルを PCB ファイルとの連携を維持したまま読込み、プロジェクトとして保存することができるようになりました。また、回路図およびPCB のライブラリファイルを同時に読込むことができます。
この新しい機能により、PADS の PCB だけでなく PADS の回路図資産についても Altium Designer に引き継ぐことができます。
新しいPADSインポート機能の自動デモ
http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=4
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2007年05月09日
Altium Dsiger 6.7 の新機能
リリースから少し間があきましたが、Altium Dsiger 6.7 の機能に関して少し触れてみたいと思います。
この新しいリビジョンでは、ボードレベルの機能を中心に盛りだくさんの改良と新機能が実現されています。以下はアルティウムのサイトで紹介されている、主要な新機能/改良点のリストです。
(1) 半自動の配線長コントロール機能(新機能)
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=8
(2) ポリゴンの配置/編集(改良)
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=9
(3) 面付け機能(改良と新機能の追加)
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=1
(4) ホールサイズ編集機能(新機能)
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=2
(5) コーナのアークを保った状態での配線のドラッグ(改良)
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=5
(6) PCB レーヤタブ (改良)
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=3
(7) サードパーティ・ベンダー IP のインポートウィザード
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=7
(8) サードパーティ・ベンダーツールオプション
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=6
(9) PADSインポート機能(改良)
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=4
(10) ライブラリの識別機能 (新機能)
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=10
(11) IPC フットプリントウィザード
デモ - http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad67_nf&flid=11
インストールした後すぐに気が付いたのは、上記(2)のポリゴン機能です。この新しいリビジョンでは円弧のコーナを持つポリゴンを容易に配置できるようになっています。文章で説明するのは難しいので自動デモをご覧ください。実際に円弧を描く際には、[Shift] + [Space]、[Shift] 、[,] 、[.] のショートカットを用いてコーナの形状をコントロールします。この操作性についてはデモを見るだけではわかりませんので、デモを見終わった後実際にお試しになることをお奨めします。
これらの改良点/新機能については全て自動デモが用意されていますので、ぜひともご覧ください。
全般的には半自動機能の提供により手設計を能率化するという方向性が伺えます。例えば、実際の基板では等長配線を全自動で行うことはムリな場合が多いと思います。しかし、今回のリビジョンで提供された(1) 半自動の配線長コントロール機能を利用すると、手設計での等長配線を能率的に行うことができます。
今回のリビジョンにおいても従来以上に、内容の濃いアップデートが行われています。
ユーザ/トライアルユーザの皆さんは要チェックです。なおトライアル CD をお持ちでない場合には、info@anvil.co.jp または、フォームにてご請求ください。
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2007年02月01日
Altium Designerの関連商品
アンビルコンサルティングはアルティウム専門店です。
しかし Altium Designer だけを販売しているというわけではなく、Altium Designer の能力を補完するための関連ツールやライブラリも販売しています。
そこで今日はアンビルコンサルティングが取り扱うこれらの商品を、ざっとおさらいしてみたいと思います。
1. アンビルコンサルティングのフォントマン(FontMan 4)
これは、PCB に日本語文字を挿入するためのツールです。TrueTypeで作成した日本語の文字列をガーバファイルに保存した後、PCB のガーバーインで読み込んででPCBレイアウト上に配置します。
http://altium.store-web.net/
実はこのツール、Protel PCB ツールをお使いのプロの基板設計者には必需品でした。しかし Altium Designer 6 の PCB では TrueType がサポートされ、これがなくても日本語入力が可能になりました。とはいうものの現場ではまだ Protel 2004 以前のツールがたくさん使われていますので、当分はこれを引退させるわけにはいきません。いまだ現役バリバリのオリジナルツールです。
2. オルグシステムズの回路図シンボルライブラリ TechLIB-SCH
オルグシステムズではプロテルが日本に上陸した直後から、国産部品を網羅したプロテル回路図エディタ用のシンボルライブラリを開発し提供し続けています。現在このライブラリは、Ver.3.1 にアップデートされ41,282個ものシンボルだ提供されています。非常に丁寧に作られており美しい回路図を描くことができます。
http://www.techweb.co.jp/ORG_Systems/TechLIB-SCH.html
3. ライズコーポレーションのネットリスト変換ツール NET-TOOL++
各社各様のネットリストフォーマットを自由な組み合わせで相互に変換できるツールです。現在のVer.7 では55種類ものフォーマットがサポートされています。この NET-TOOL++ を使うと、Altium Desiger の回路図から出力されるネットリストを国産CAD のフォーマットに変換することができます。また、Protel フォーマット以外のネットリストをAltium Desiger に読み込んで基板設計を行うことができます。ネットリスト変換ツールの業界標準です。
http://www.rise-corp.co.jp/nettool.htm
4. 鶴崎海陸運輸の部品表太
CAD から出力された部品表を読み込み、自社様式の部品表に変換したり集計作業を行うための部品管理ツールです。部品表太はプロテルが日本に上陸したときにはすでに販売が行われていましたので、最初のバージョンがリリースされてから、もう20年近くなるのではないでしょうか?
http://www.tsurukai.co.jp/site75/sysindex.htm
これらのツールの共通の方向性は、日本語環境のサポートであるといえます。Altium Designer は外国製品なのでちょっと不便 ... と思ったときはこれらのツールの導入を検討してみてください。
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2007年01月30日
OrCAD Capture との互換性
アルティウム(旧プロテル)は約 15年前、OrCAD SDT(DOSの回路図エディタ)のWindows 版という位置付けで Advanced Schematic の販売を開始して以来、OrCAD 回路図エディタとの互換性を重視し続けてきました。
現在のAltium Designmer ては、OrCAD DOS 回路図の読み込み機能こそ廃止されたものの、Windoes 版のOrCAD Capture に対しては双方向の互換性を実現しています。
OrCAD Capture 回路図の読み込みは、Protel 99 SE で始めて実現されました。そして次の Protel DXP 以降は OrCAD Caputure フォーマットでの保存(書き出し)が可能になり OrCAD Capture との双方向の互換が実現しました。その後も新バージョンのリリースのたびに改良が加えられ、うまく使えば非常に精度の高い変換ができるようになっています。
しかしながらうまくいかない場合もありますので、その例として OrCAD データの読み書きに関する 2 件のフィードバックをご紹介します。
(1) OrCAD 回路図の読み込み(OrCAD Import)に関して
< 問合せ > OrCAD Caputureの回路図を読み込んだところ絵柄は正確に再現されたが、デジグネータの文字 が非常に小さく表示される。
< 対応 > 確認したところフォント属性が正しく変換されていないようでしたので、Altium Designer の Find Simular Object で選択して、Inspector で一括変更。ネットを確認してもらったころ正しく出力されているようでした。必要な場合には、OrCAD から Protel ネットリストを出力し Show Differences 機能によって読込んだ後のOrCAD 回路図との比較することにより、完璧に整合性を確認することができます。
(2) OrCAD 回路図への書き出し(OrCAD Export)に関して
< 問合せ > Altium Designer から出力した OrCAD 回路図を、OrCAD Capture R10で読み込んだところ、複数の回路図のうちの最初の1枚しか読み込めない。
< 対応 > 確認したところ確かに指摘とおりの症状がでました。アルティウム ジャパンで調べてもらったところ、OrCAD Capture R9.2 と R15.7 なら正しく読めるということでした。ちなみに、Altium Designer から出力される OrCAD 回路図のりビジョンは R7.2 のようです。ユーザには、R10 以外の OrCAD で読み込んでいただくようにお願いしました。
このようにいくつかの不具合も報告されていますが、おおむねこのOrCAD Import/Export に関する評価は高いようです。常用しているユーザも多いようですので、機会があれば一度お試しください。
OrCAD、OrCAD SDT、OrCAD Capture は Cadence Design Systems, Inc. の登録商標です。
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2007年01月29日
Altium Designer のライセンス管理システム
Altium Designer では、デザインエントリー機能を統合したツールのセットにFoundation という名前が付けられており、基板設計の機能を統合したツールのセットには Board Implementation という名前が付けられています。
そして商品として販売される場合、Board Implementation は単体で販売されず、必ずFoundation を付けて販売されます。ちょっとわかりにくいまもしれませんが「基板設計を行うためには Board Implementation が必要であり、この Board Implementation を買えば必ず Foundation が付いてくる」ということです。
そこで生じるのはこの、Board Implementation の一部である PCB エディタと、Foundation の一部である回路図エディタとを、別々のユーザが個別に使用することできるのか?という疑問です。
日本では、回路設計と PCB 設計がそれぞれ別の技術者によって分業されていることが多ので、回路図エディタと PCB エディタを個別に使用出来たほうが好都合な場合が多々あります。しかし残念ながら Altium Designer ではこのような使い方はできません。
Protel 99 SE 以前は、各機能を個別に使用することができましたので、古いバージョンから移行される場合にはこの点に注意することが必要です。
また Protel 99 SE は、フローティングライセンス仕様の製品しかなく、スタンドアロンで使用される場合にもこのフローティングライセンス仕様の製品が供給されていました。このため、Protel 99 SE からAltium Designer へのの移行の際に、以前と同等のライセンス形態を保つためには、ネットワークライセンスを選ぶ必要があります。
アルティクム製品は、世代交代のたびに大幅に機能のアップデートが実現されてきましたが、ライセンス管理の方法もそのたびに変わってきていますので注意が必要です。
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Altium を出先に持ち出す
最近は Altium Designer のネットワーク版のご要望が増えてきましたが、この場合に問題になるのが Altium Designer を社外に持ぢ出して使いたい場合です。ネットワーク板はサーバーに繋がないと使えませんので、社外への持ち出しが必要になる場合には事前に手を打っておかなくてはなりません。
そこで、5ライセンスの導入を行う場合を想定してその方法を探ってみます。
(1) 5ライセンスのネットワーク板の場合
この場合には、WAN を利用して出先から社内にあるサーバに接続すること以外に手段はありません。仮に力ずくでサーバを持ち出したとすると、客先で Altium Designer を使うことができますが、社内のAltium が使えなくなります。
(2) 4ライセンスのネットワーク版 + 1 ライセンスのスタンドアロン版に分割した場合
この場合には、ノート PC にスタンドアロン版をインストールしておけば、容易に持ち出すことができます。ただしこの場合にはPC が1台の持ち出し専用機に固定されますので、いつも社内で使っている PC を出先に持ち出すような利便性を得る事は出来ません。またフローティングするライセンスが 4ライセンスになり、ライセンスの利用率(稼働率)は多少低下します。
(3) 4ライセンスのネットワーク版 + 1 ライセンスのネットワーク版に分割した場合
Altium Designer がインストールされているクライアントをライセンスサーバーとして共用することができます。このため、持ち出し用のノートPC にAltium DZesigner とライセンスサーバーの両方をインストールして、1ライセンスのネットワーク版をこの ノート PC で利用することができます。この場合には、持ち出し用 PC は固定されますが社内に持ち帰って LAN に接続すれば、合計 5 ライセンスをフローティングライセンスとして使用することができます。
(4) 4ライセンスのネットワーク版 + 1 ライセンスのネットワーク版に分割した場合 - その 2
最近 PC が小さくなりましたので、サーバーを持ち出すということが非現実的な話ではなくなってきたように思います。例えば以下のPC は超小型であり重量も 500g 以下のようですので、常用のノート PC と一緒に持ち出すこともできるのではないでしょうか?
http://www.oqo.com/(メーカー)
http://journal.mycom.co.jp/news/2004/10/15/005.html(MYCOM)
このような小型 PC にライセンスサーバをインストールし、サーバごとライセンスを持ち出すとします。この場合クライアントは、持ち出し専用機ではなくいつもAltium Designerを使っている自分の PC を持ち出すことができます。またライセンスサーバーを社内に持ち帰った後は 5ライセンスの全てをフローティングライセンスとして使用することができます。
この場合の最大の問題は小型 PC の価格が高いことでしょう。また、小型とは言え出張時に荷物が増えることは好ましくありません。
以上のように、Altium Designer を社外に持ち出すためのいくつかの方法があります。しかしいずれの方法にもメリットとデメリットがありますので、事前の検討が必要です。またあわせて、ライセンス使用許諾条件の再確認を行うことも必要です。
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2006年10月12日
既存データの再利用
Altium Designer では PADS などの他機種の CAD データを読み込むことができますがその範囲は限られており、国内で多用されている国産 CAD システムの CAD データの読み込みはできません。
しかし、CAD データが読み込めなくても、DXF やガーバー(Gerber)を介してデータを読込んで再利用することができます。
ただし、DXF やガーバーは電気的な属性を持たないグラフィカルデータですので、これらを再利用する場合には手作業を加える必要や、多くの制限があることを知っておかなくてはなりません。特に DXF データは機械系CAD用のフォーマットですので PCB オブジェクトと完全な相関を得ることができません。例えば配線パターンがポリライン(PCBのベタに相当)で表現されていたりします。このためデータをそのまま使用することは困難ですので、DXF データについては再設計のためのテンプレートとしての利用に留めるのが無難です。
一方ガーバーについては、絵柄としてはPCB オブジェクトと完全な相関がとれていますので、読み込んだデータをそのままPCB オブジェクトに置き換えて再利用することが容易です。
そこでガーバーを介して行う、データの再利用の例をいくつか紹介します。
(1) CAMtastic 経由でガーバーとNCファイルを読み込み、基板の全データを再利用
これはCAMtastic の持つ、ガーバーから Altium Designer の PCB データへ変換機能を利用するものです。以下に手順が紹介されていますのでご覧ください。
http://eda.ac/yota/archives/2005/07/_camtastic.html
これが成功するか否かは、CAMtastic が他機種で作成されたガーバーとNCデータを正しく読めるかどうかにかかっています。しかし現実にはガーバーとNCデータには多くのバリエーションがありますので正しく読めない場合もあります。この場合には多少の手直しが必要になります。
先日ユーザ様からいただいたガーバーでは D03 コマンドが正しく処理されず、CAMtastic ではうまく読むことができませんでした。もしガーバーが正しく再現されない場合には一度この部分も確認してください。
CAMtastic で正しく処理できないガーバーデータ
---------------------------------------------
G17*
G90*
D02*
D99*
G01X-02720000Y01040000*
D03*
G01X-01570000Y00000000*
D03*
D02*
M00*
M02*
M30*
---------------------------------------------
上記のように、"D03" (フラッシュコマンド)が座標値と分離して記述されている場合に"DO1"(ドロウコマンド)が無くてもシャッターが開いた状態で線が引かれます。これを以下のように書き換えると、正常に再現されます。
CAMtastic で正しく処理できるガーバーデータ
---------------------------------------------
G17*
G90*
D02*
D99*
G01X-02720000Y01040000D03*
G01X-01570000Y00000000D03*
D02*
M00*
M02*
M30*
---------------------------------------------
*この問題についてはアルティウムに対策を依頼済み
(2) 直接 Altium Designer の PCB にガーバーを読み込み基板データの一部を再利用
CAMtastic で PCB データに変換する場合は、PCB を構成する全データを読み込んで処理することが必要になりますので、一部のデータだけを再利用したい場合は少し不便です。例えば、他機種で設計した配線パターンだけを再利用し、部品はAltium Designer でマニュアル配置するという場合です。
このような場合には、直接 Altium Designer の PCB エディタにガーバーを読み込みます。
しかし、PCB エディタでは他機種の PCB データを直接読み込むことができず、以下のようなヘッダーの追加が必要になります。
Altium Designer PCB エデイタで読めないデータ
---------------------------------------------
D10*
X57173Y87824D02*
X57096Y88031D01*
X56963Y88206*
X56786Y88336*
M02*
---------------------------------------------
ヘッダー2行を追加することにより読み込みが可能になります。このヘッダは、Altium Designer PCB エディタから出力したガーバデータのヘッダーを切り取って貼り付けましたが、データの単位系と桁数によって記述内容を修正する必要があります。
Altium Designer PCB エデイタで読めるデータ
---------------------------------------------
%FSLAX43Y43*%
%MOIN*%
D10*
X57173Y87824D02*
X57096Y88031D01*
X56963Y88206*
X56786Y88336*
M02*
---------------------------------------------
またこの場合には自動的にアパーチャが参照されるため、アパーチャファイルを事前に用意しておくこと、およびガーバーとアパーチャファイルの双方ともにPCB エディタのルールに沿った拡張子をつけておくことが必要です。
(3) ライブラリエディタでガーバーデータを再利用
複雑な形状のフットプリントを作成する場合、他のCADで作成された既存のフットプリントをガーバー出力して再利用することにより作成時間を短縮することができます。
しかし、Altium Designer PCB ライブラリエデイタではガーバーのインポートができません。このため、一旦PCB エディタにガーバーデータを読み込んだ後、Copy & Paste でライブラリエデイタに貼り付けます。
ガーバーファイルを用いると短時間で PCB の絵柄を完全に再現することができますが、 PCB 属性を与える作業には多くの時間を要します。このためガーバーデータを利用する場合には、完全なPCBデータへの変換にはこだわらず、目的にあわせてある程度のところで妥協することが必要であると思います。
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2006年09月26日
他機種との互換性
Altium Designer 6.4/6.5 では、異機種データの読込み/書出し機能が改良されたことをご紹介しましたが、旧来より Altium(Protel)製品では異機種との互換性が重視されており、現在では非常に多種の CAD データの読み書きが可能になっています。
まず、File >> Open で表示されるファイルのリストをご覧ください。
このリストには CAD フォーマットだけでなく関連するテキストフォーマットも含まれていますが、このリストを見るだけで Altium Designer がいかにに多種のデータをサポートしているかということがわかります。
回路図とPCB の範囲で、読込み可能なフォーマットを整理すると以下のようになります。ほとんどのフォーマットのデータは File >> Open で読み込むことができ、一部のフォーマットについては File >>Import で読込みます。
・回路図データの読込み
- Protel schematic の全バージョン
- P-CAD Schematic ASCII(V15 & V16)
- Orcad Capture(V7 & V9)
- R2000 までの AutoCAD DXF/DWG
File >>Import での読込み
・PCB データの読込み
- Netlist(Protel および Tango)
- Protel PCB の全バージョン
- P-CAD PCB ASCII(V15 & V16)
- PADS PCB ASCII(ASCII 3.5 まで)
- Orcad Layout(V7)
- Specctra RTE
- R14 までの AutoCAD DXF/DWG(電気層への読み込み)
- Gerber - batch および single
File >>Import での読込み
また書出し可能なフォーマットを整理すると以下のようになります。これらの書き出しは全て、File >> Save As で行うことができます。
・回路図データの書出し
- Orcad DOS schematic
- Protel schematic V4
- Protel ASCII
- Protel schematic テンプレートファイル (ASCII および binary)
・PCB データの書出し
- AutoCAD DXF/DWG
- Specctra DSN
- HyperLynx
- Protel Netlist
- V3 binary
- V4 binary
- V5 ASCII
また Altium Designer では、階層化された複数の回路図を他機種のプロジェクトファイルのフォーマットで保存することができます。
・プロジェクトファイルへの書き出し
- OrCAD Capture (dsn)
- P-CAD Schematic
これだけ多くの異機種、および旧バージョンのフォーマットをサポートした CAD ツールは他に見当たりません。またその変換精度は非常に高く、読み落しやデータ化けはほとんど起こりません。Altium Designer のユーザやトライアルユーザの皆さん。ぜひともこの機能をお試しください!
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2006年08月04日
ショートカットキー
Altium Designer 6 のトライアル版や製品版を使い始めた方々から、マウスのカーソルにぶら下がっているテキストをどうしたら消せるか?という質問を良くお受けします。
Shift + H で消えますよ!とお答えするわけですが、編集モードに入っていないコマンド待ちのときには、表示コントロールのためのショートカットキーが表示されていますので、これに気付けば一目瞭然、問い合わせするまでもありません。
CAD による編集作業の能率を上げるためには、ショートカットキーを効果的に利用することが必要です。このため Altium Designer 6 では、配線中に使用する多くのコマンドがショートカットキーに割付けられています。そしてそのショートカットキーに割り付けられた機能は、画面上の表示や PDF ドキュメントで説明されています。
ショートカットキーを有効にお使いいただくためには、画面上に表示されるメッセージに気をつけていただくことも大事なのですが、まずショートカットを解説したGU0104 Shortcut Keys.pdfに目をとおすことをお奨めします。このPDF ドキュメントは Altium Designer 6がインストールされたフォルダー及び、アルティウム(英語)のWEB サイトにあります。
C:\Program Files\Altium Designer 6\Help\GU0104 Shortcut Keys.pdf
(デフォルトでインストールした場合)
http://www.altium.com/files/learningguides/GU0104%20Shortcut%20Keys.pdf
こんなにたくさんのショートカットがあるのか!という驚きとともに、今まで探していたショートカットが見つかるのではないかと思います。
そしてもうひとつ極めつけの機能として、ショートカットパネルがあります。このパネルは、
View - Warkspace Panels - Help - Shortcut で表示され、編集作業中に使用できるショートカットの一覧が示されます。
この機能についても、マルチメディアデモが用意されていますのでご覧ください。
http://altium.com.edgesuite.net/videoplayer/?lib=ad6_whatsnew_JP&flid=6
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2006年08月02日
Altium Designer 6.3 と旧バージョンとの互換性
新しいバージョンに移行する際、気をつけなくてはならないことの一つに、データの互換性があります。
Protel 2004 から Altium Designer 6 へのアップグレードでは、ファイルフォーマットが変更されませんでしたので、この互換性に注意をはらう必要はほとんどありませんでした。しかし今回のAltium Designer 6.3 へのアップグレードでは、PCB ファイルのフォーマットが変更されていますので、注意が必要です。
Altium Designer 6.3 の Board Implementation を使い始ると頻繁に現れるのがこのワーニングメッセージです。
これは、Altium Designer 6.0 で作成したファイルを開くと表示され、「VIA とポリゴンとの接続ルールがデザインルールで管理されるように変更されたので、リドロウすると以前とは異なった結果が生じる」ということが警告されます。これはファイルの互換性というよりも機能上の互換性の問題です。
一方、ファイルを保存する時には次のようなメッセージが表示されます。
ここには、Altium Designer 6.3 以前のバージョンでは開けない事が明確に示されており、ファイルフォーマットが変更されたことがわかります。
もし、Altium Designer 6 や Protel 2004 で読めるようにするには、旧バージョンのフォーマットで保存することが必要です。幸い Altium Designer 6.3 では旧バージョンのフォーマットや他の PCB ファーマットでの保存ができますので、互換性の確保は容易です。
File >> Save As... で保存する際にファイルフォーマットを選ぶことができますので、旧バージョンとの互換性を確保したい場合にはここで適切なフォーマットを選択します。(以下は記憶をたよりに説明を加えたものですので多少誤りがあるかも知れません)
アルティウム製品の旧バージョン以外に多くのフォーマットがサポートされており、AutoCAD、HyperLynx 伝送線路シミュレータ、Specctra オートルータなどもいろいろと使い道がありそうです。
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2006年06月16日
ポートの向きが変わらない
アンビルコンサルティングのお客様は、長くプロテルとお付き合いいただいている方々が多いせいか、以前のプロテルと Altium Designer との機能の違いについて、よくお問い合わせをいただきます。
このため、旧「プロテル探検隊」では Protel 99 SE と Protel 2004 との違いを少しずつ紹介させていただいておりましたが、この「アルティウムの知恵袋」でもこれを続けて行きたいと思います。
最近よくいただく質問に、ポートの向きが変わらないというのがあります。これは、旧プロテル(~Protel 99 SE )には無かった自動機能にによってポートの向きがコントロールされているからです。
例えばAltium Designer のデフォルトでは、Port の Style を設定しても、回路図上のポートの向きは全く変わりません。その代わり、I/O Type の設定を変えると勝手ににポートの向きがかわり、この状態で固定されます。
この機能は、Protel 99 SE にはありませんでしたので、同じ調子で Altium Desiger を使いはじめるとここで躓いてしまうわけです。
[Tools] - Schematic Preferences の Gneral にこの自動機能の設定があります。このぺージの Options グループの Port Direction のチェックボタンを外すとI/O Type によるポートの向きのコントロールが解除され Style で向きを変更することができるようになります。
すなわちこれで Protel 99 SE と同じ使い勝手になります。また、Port Direction ではなく Unconnected Left To Righit のチェックを外すと、ポートが接続されていない時のみ Style の設定が反映されるようになります。
折を見てこのような機能の違いを説明して行きたいと思いますが、すでに躓いておられる方は旧プロテル探検隊のこのカテゴリをのぞいて見てください。
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2006年06月03日
続 Altium Designer 6.3
アルティウムのメディアリリースに示されていた、Altium Designer 6.3 の改良点リストの部分を抜き出して翻訳してみました。
一見、改良点が少ないような印象を持ちましたが、それぞれの項目を見てみると、かなり内容の濃い改良が行われています。各項目の説明は別の機会に譲るとして、とりあえずこの改良点のリストを披露します。
Altium Designer 6.3 の主要な改良点
・ データ変換機能の拡張
- PADS ライブラリ読み込み機能の追加
- OrCAD 読み込み機能の拡張によりシミュレーションデータをサポート
- OrCAD 回路図 + PADS PCBレイアウトのライブラリ一括変換
- 機械CADへの変換機能において STEP エクスポートをサポート
・ ボードレベル(基板)設計機能の拡張
- グラフィックアクセラレータをサポートした新しいグラフィックエンジン
- 改良された新しいベタ塗り(ポリゴン)マネージメント機能
- 束線の配線/編集機能のサポート
- パッドの長穴と角穴のサポート
- ベタ塗り(ポリゴン)の接続性の管理と速度の改良
・ ライブラリの拡張
- データベース(リンク)ライブラリのバージョン管理機能を追加
- IPC-7350 シリーズ準拠のフットプリントライブラリ
・ FPGA ハードウェア機能の拡張
- Altera Nios II FPGAベースプロセッサのサポート
- LatticeXP non-volatile FPGAのサポート
- FPGAベースIPコアに SDRAM, Flash and SRAM, BT656 のメモリーコントローラ、
及びDMAによるビデオキャプチャ、I2S オーディオストリーミングを追加
・ ソフトウェア開発機能の追加
- エンベッデッドシステム編集のパフォーマンスの改善
- 組み込みアプリケーションのターゲットFPGA/プロセッサ間での移植性を高めるため、
エンベッデッドプロジェクトのデバイス・ソフトウェア・フレームワークを追加
マルチメディアデモ http://www.altium.com/AltiumDesigner/videos/JP
リリースノート http://www.altium.com/files/pdfs/WhatsNewinAltiumDesigner6.3.pdf
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2006年05月31日
Altium Designer 6.3
Altium Designer 6.3 のリリースがアナウンスされました。
この新しいバージョンは 6 月に出荷が開始され、Altium Designer 6 の既存ユーザはアルティウム社のホームページから無償でダウンロードすることができます。
今回のアップグレードでは主に既存環境のマイグレーションのための機能が改良されています。PCBとFPGA ツールの双方に改良が加えられていますが、いずれも大幅な機能の追加は行われていないようです。
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アルティウム社のアナウンスに目を通すと、今回のアップグレードでは回路図とPCB のトランスレータ(他社/既存データの読み込み)の改良が目を引きます。OrCAD の回路図シンボルライブラリとPADS のPCB フットプリントライブラリを、一気に Altium Designer の統合ライブラリに変換できるようです。OrCAD で回路図を作成し PADS で基板を設計するといスキームを簡単に Altium Designer に引き継ぐことができるというのがポイントです。
他にもOrCAD ライブラリのインポート機能ではシミュレーション属性も同時に変換され、即シミュレーションを実行可能な状態でOrCADファイルを読めるようです。
詳しくは、アルティウム社のアナウンスおよびデモセンター をご覧ください。
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2006年05月18日
ライブラリレポート
Altium Designer は多彩なドキュメンテーション機能を備えており、カスタマイズされた部品表や図面の PDF 出力など実用性の高いドキュメント簡単に生成することができます。
そこで今回はこの Altium Designer のレポート機能のひとつである、ライブラリレポート機能を試してみました。
ライブラリレポート出力は、回路図シンボルと PCB フットプリントのどちらも可能で、いずれも Altium Designer のライブラリエディタの Reports メニューから起動します。
出力フォーマットは、Word と html の 2 種類がサポートされていますので、とりあえず html で弊社手持ちのライブラリを図面化してみました。この出力結果は以下をご覧ください。
Tech Lib - SCH (旧テクスパート版)
BASIC15.LIB JRC_BI15.LIB MFACT_15.LIB MOT_PW15.LIB NS_PAL15.LIB PHOTO_15.LIB TC74HC15.LIB
Tech Lib - PCB enhanced
BATT.LIB BRIDGE.LIB BUZZER.LIB CAP.LIB CN1.LIB CN2.LIB CN3.LIB CN4.LIB COIL&TH.LIB DCAP.LIB DINCON.LIB DIODE.LIB DIP.LIB DIPSW.LIB DISPLAY1.LIB DISPLAY2.LIB FCAP.LIB FCON.LIB IFCON.LIB JWP.LIB LED1.LIB MKRPKG1.LIB MKRPKG2.LIB OSC.LIB POT.LIB REG.LIB RELAY.LIB RESI.LIB SW.LIB SWREG.LIB TANCAP.LIB TR.LIB
Tech Lib - PCB basic
DISCREET.LIB HEADER.LIB MISC.LIB PGA.LIB SIP_DIP.LIB SMT.LIB
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2006年05月17日
ポートの飛び先表示
回路図シート間を接続するポートの飛び先が表示されないので、回路図を追いにくいという指摘をいただくことがよくあります。
このポートの飛び先表示は、Protel 99 SE で最初に実現された機能であり、当然 Protel 2004 にも Altium Designer にもあります。ところがどういう訳かこの機能の存在に気付いておられない方が多いようです。
ポートの飛び先は [Report] - Port Cross Reference - Add To Project で起動することにより表示されます。このコマンドにより、ポート付近に接続先の回路図シート名と接続点の座標値が表示されます。
このように飛び先が表示されます。最初はなぜか Add Tp Project コマンドがグレイアウトしていましたが、Simple BOM を起動した後、コマンドが有効になりました。もしコマンドがグレイアウトしていたらこの操作を試してください。
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2006年05月16日
Altium のネットリスト出力
基板設計を Altium Designer 以外のツールで行う場合には、使用する PCB-CAD に合わせたフォーマットでネットリスト出力を行うことが必要になります。しかし、 Altium Designer の回路図エディタが標準的に備えている出力フォーマットの種類は限られており、そのままでは業界で使用されている多種の CAD とのデータの受け渡しは困難です。
このため、アルティウムからネットリストフォーマットを拡張するためのアドオンモジュールが提供されており、これをインストールすることにより大幅に種類を増やすことができます。
ダウンロード先 - Output Generators for Altium Designer 6
- 標準装備のネットリストフォーマット
・EDIF for PDB
・MultiWire
・Pcad for PCB
・Protel
・Verilog File
・VHDL File
・XSpice
- アドオンで拡張されるネットリストフォーマット
・Cadnetix
・Calay
・EEsof (Libra and Touchstone)
・Intergraph
・Mentor Boardstation 6
・OrCAD (DOS)
・Pads ASCII
・P-CAD (MasterDesigner)
・P-CAD NLT
・Protel 2
・Racal Redac
・RINF
・SciCards
・Tango
・Telesis
・Wirelist
しかしリストには国産CADの名前は見当たらず、アドオンによっても国産 CAD のフォーマットはサポートされていません。
一方、国内では図研に代表される国産 CAD が多く使われており、これらとのネットリストの受け渡しのためには外部ツールを使った変換が必要になります。
このような用途に使用できるツールはいくつかありますが、機能と実績面からライズコーポレーションの NET-TOOL 及び NET-TOOL++ がお勧めできます。NET-TOOL 及び NET-TOOL++ 双方とも 53 種類のネットリストをサポートしており、実質的に市場に存在する全てのCADツールとの熱とリストの受け渡しが可能になります。
トライアル版が提供されていますので変換能力を試してみることもできます。
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Altium Designer 6 の互換性
旧来よりアルティウム製品には、既存の設計資産を継承するための充実したファイル互換機能が備えられています。
Altium Designer 6 においても、プロテル旧製品や OrCAD、PADS、P-CAD などのデザインファイルを変換操作なしに読み込むことができます。また、これらの機能は操作性も含めて直前のバージョンである Protel 2004 とかわりなく、Protel 2004 から移行する場合やProtel 2004と併用する場合でも不便は生じません。
そして、さらに試してみたところ Altium Designer 6 は仕様に示されていない次のような互換性を備えていることが確認できました。
(1) デザインファイルの互換性
Altium Designer 6 のデザインファイルのフォーマットは、Protel 2004 から変更されておらず変換なしに相互に読み書きが自由にできます。たとえば、Protel 2004 で作成した PCB プロジェクトや 回路図 / PCB デザインファイルはそのまま Altium Designer 6 で読み込みが可能でありその逆も可能です。ただし、Protel 2004 でサポートされていないオブジェクトを Altium Designer 6 で使った場合には互換性を保つことはできません。たとえば、Altium Designer 6 で漢字(TrueType)を入力した場合には、Protel 2004 で読み込むとこの漢字は文字化けします。
(2) ライセンスの互換性
Altium Designer 6 のライセンスは Protel 2004 でも使用することができます。Altium Designer 6 のネットワークライセンスをインストールしたサーバに Protel 2004 をインストールしたクライアントを接続したところ、問題なくライセンスを取得しプログラムを使用することができました。ただしノードロック版では試していませんのでこちらについては不明です。
この 2 つの互換性によって、実質的には Protel 2004 と Altium Designer 6 を同一バージョンとして取り扱うことが可能になります。そしてこれにより新バージョンへの移行が非常に容易になり、複数の Protel 2004 を段階的にAltium Designer 6 に移行するという場合には特に好都合です。
このように Altium Designer 6 では Protel 2004 からの移行をスムーズに行えるような配慮が行われていますので、大口ユーザの方も安心して Altium Designer 6 へのアップグレードをご検討ください。
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2006年04月01日
Embedded Board Array
Altium Designer の面付け機能 - Embedded Board Array による CAM への接近
実はこの機能、Protel 2004 のころから実現されていたのですが、最近お客様に指摘されてようやくこの存在に気付きました。これは大変有用なCAM機能なのですが、これまでのものは面付け後のレイアウトから部品座標値の出力をすることができず、いくらか片手落ちの面もありました。
しかし Altium Designer 6 では単面のレイアウトと同じように、部品の座標値データが出力できるようになり、面付けによる組基板の作成に必要な機能がすべてそろいました。
画像はAltium Designer overview ページのものを利用させていただいております。
ここまでの説明でピンと来ない人のためにこの用途の説明を続けます。
1. 単純な面付け
基板を製造する時に、小さな基板を 1 枚づつ加工すると能率が悪いので何枚かを寄せ集め、ワークサイズと呼ばれる大きな基板にして一度に加工します。この寄せ集めは面付けと呼ばれる作業で、これをーバーエディタを用いることなくAltium Designer の PCB 機能だけで用いて行うことができます。この用途では面付け後の部品座標データの出力は不必要なため、Protel 2004 の Embedded Board Array 機能でも十分であるといえます。
2. 組み基板のための面付け
ひとつのシステムを構成する、種類の異なる複数の基板を一枚の大きな基板に張り合わせ、一度に実装することにより実装工数を削減することができます。この手法は、大量生産を行う民生機器の分野で多用されます。この組基板では、面付け後の部品座標データを出力することができます。この機能によりAltium Designer 6 では、PCB 機能だけで組基板を作る事ができるようになりました。
この Embedded Board Array 機能は、単面のPCBレイアウトファイルへのリンクによって面付けを行うため、単面のPCBレイアウトを変更すると面付けされたレイアウトも自動的に更新されます。
この機能は、新機能としてさほど大きく取り上げられていないようですが、想像以上に大きな意味があるように思います。Altium Designer は、設計プロセス上流の設計者に高評価されているツールであることは事実ですが、基板加工/実装効率化のためのEmbedded Board Array 機能により、設計プロセス下流の設計技術者にも使い勝手の良いツールに生まれかわりました。
日本製のCAD にこだわる設計者の多くは、面付け機能をはじめとする CAM 機能の非力な海外製のCAD を敬遠しがちです。しかし Altium Designer 6 では Embedded Board Array 機能によってCAM 機能の非力さは取り払われつつあります。
海外の CAD は CAM がいまひとつという先入観を捨てて、一度この機能を試してみてください。
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2006年03月10日
続ジャンクションの恐怖
過去の記事の続編です。
コメント投稿にて質問をいただきましたので、ジャンクションの恐怖の続編として回答いたします。
最近の Altium Designer の回路図エディタでは、配線のオプティマイズ機能によって、十字接続の部分のドットが消えて交差になってしまいます。下図をご覧ください左が意図した接続であり、右側が Altium Designer で最適化された結果です。
この現象は、新規作成時だけではなく古い回路図を読み込んだ場合でも起こります。このような意図しない最適化を避ける方法として最も確実な方法は、以下設定画面の Optimize Wire and Buses のチェックボタンをはずすして最適化の機能を解除することです。
また、このオプティマイズ機能を解除せずに十字接続を実現する方法もあります。上図の設定画面の Convert Cross-Junction にチェックを入れると、十字接続部分は交差ではなく2つのT字接続に変換されます。
そしてこの形状が許せない場合には、以下の設定により従来通りの形状を得ることができます。
このダイアログボックスの Miter Size の初期値は5に設定されていますが、このサイズを小さく設定することにより、2箇所のT字接続の間の距離を縮めることができます。
試しに 0.1 に設定したところ完全に重なって見えました。この数値の単位はおそらく10milですので、0.1に設定すると、実寸は1mil(25.4ミクロン)になるはずです。ただし 0 (ゼロ)の入力はできませんでした。
また私が試した結果によると、この設定により既存のジャンクションが変換されるのではなく、新たに作成するジャンクションにこの設定が適応されました。要するに初期設定値として機能するようです。
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2005年04月07日
日本語環境設定
Altium 2004ファミリーでは、SP2のリリースにより画面を日本語表示することが可能になりました。
このため、Protel 2004やCircuitStudio 2004のトライアル/製品ユーザの皆様から、日本語環境の設定方法に関する質問をよくいただくようになりました。そこでその手順をここでおさらいしておきたいと思います。
画面の日本語表示は次の手順で行います。
日本語環境への切り替えは、[File]メニューの左にある[DXP]メニューの中の[Preferences]コマンドを選び、表示されたPreferences DXP System General設定画面(画像の確認)のLocalizationグループの Use localized resorcesにチェックを入れることによって行います。
設定後 Protel/CircuitStudio のリスタートが必要です。これが完了すると画面が日本語(画像の確認)に切りかわります。
また、設定画面にはSystem Fontの設定項目があり、これを設定することにより画面表示に使用するフォントを選ぶことができます。しかしこの設定により表示が文字化けする場という問題が報告されていますので注意が必要です。これついて、アルティウムジャパンのサポートから次のようにコメントされています。
アルティウムジャパンのコメント
日本語メニューを選択した場合は、System Fontはデフォルトのままでないと、部分的に文字化けを起こすことがあります。たとえ「MSゴシック、日本語」を選んだ場合でもスプレッドシート形式の箇所は文字化けします。従ってSystem Fontのチェックボックスは常にデフォルトのオフのままにしてください。
アルティウムジャパンのコメント終わり
このような手順で画面の日本語表示が可能ですが、Protel/CircuitStudio の回路図上で日本語を使用する場合には、さらに次の設定が必要です。
(1) フォント属性を持ったテキストオブジェクト
テキストをダブルクリックすることにより個々に設定することができますが、使用するフォントのデフォルトを日本語ファントに設定することにより、個々の設定が不要になります。
この手順は、まず[Tools] -[Schematic Preferences]を選びます。そして表示されるPreferences - Schematic Dfault Premitives設定画面(画像の確認)で、テキストオブジェクトの種類と使用するフォントを設定します。画面は、回路図シンボルのDesignatorの設定例です。
(2) フォント属性を持たないテキストオブジェクト
回路図シンボルの端子名やネット名はなどのフォント属性を持っていないテキストオブジェクトのフォント設定は、以下のように行います。まず[Design] - [Document Options] を選びます。そして表示されるDocument Optionsダイアログボックス上のChange Syustem Font ボタンを押して変更を行います。(画像の確認)
また、タイトルブロックで使用するフォントは、(2)の設定画面(画像の確認)のParameterページ(タブで切り替え)で日本語に変更することができます。
以上が回路図エディタ上の日本語環境およびフォント設定の方法です。この設定によりProtel 2004のPCBエディタの画面も日本語に切り替わりますが、PCBレイアウト上には日本語を使用することはできません。PCBに日本語の挿入が必要な場合には、新型FontManをご利用ください。
追記 - 2006年4月24日
現在の Altium Designer 6 では、PCB 上に TrueType を使った日本語入力が可能になっています。また、現在のバージョン Altium Designer 6 では、Nexar-Protel、Protel、Nexar-Protel、CircuitStudio、CAMtastic の名称は使用されていません。
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